第520回 脱・モヤモヤ
先週土曜日のこと。朝からモヤモヤする出来事がありました。今、こうして振り返ってみると実にくだらない内容!でもそのさなかにいる時の人間というのは、一点集中になってしまうのですよね。よって「脳内カオス」から脱出すべく、以下を試みてみました:
(1)とにかく書き出す
いきつけのカフェのグッズコーナーに売っていた季節限定版A5リングノート。最近これに何でも書いています。参考にしているのは奥野宣之さんの「情報は1冊のノートにまとめなさい」(ダイヤモンド社、2013年)です。この日私はノートを広げ、モヤモヤを全て書き出しました。「なぜモヤモヤしているのか?→それに対して自分は本音で何を思っているのか?→次回同じ境遇に置かれたらどうするか?」という具合。こうして書き出したことで心の中がスッキリしました。
(2)動く
ノートは自分しか見ません、一通り思いを大放出した後、私は自問自答しました:「せっかくの貴重な土曜日(しかも明日はCNNの早朝シフトがあるから超早起き!よってフルのお休みは今日だけ)にも関わらず、このままで良いの?朝のプラスのエネルギーを使い果たして後味悪い状態で土曜日を終えてしまうの?」と。もちろん答えは「ノー!」。ならば少しでもプラスに動くしかありません。そこでこの日は「家じゅうを徹底的にきれいにするゾ」(←最後がカタカナだと「クレヨンしんちゃん」みたいですが)と決意して行動開始。ハンディモップで「家じゅうの平面」の埃取りに励み、掃除機掛けをして、浴室・トイレなどの水回りを磨き上げ、おしゃれ着専用の服も洗濯機にかけるなどしてみました。
ちなみに先日トレインチャンネルで見た情報に「お掃除ロボットを購入するも、結局使わなくなった人の割合」が出ていました。うろ覚えなのですが、その数字が私の想像以上だったのですね。今回私は普通のモップや掃除機で取り組んだのですが、「あえて自分の体を動かして、家じゅうがきれいになるという結果を目の当たりにしたこと」が気分回復に寄与したと思っています。
(3)大切なことばを思い出す
最近励んでいるオンラインのヨガレッスン。どの先生も貴重なひと言をレッスン中に述べてくださいます。自宅オンラインの最大の長所は、そうした「ことば」をすぐにメモできること。スタジオレッスン中にノートとペンで走り書きをしていたら白い目で見られそうですが、これも在宅オンラインならではの特権!最近いただいたことばで励みになっているのは、「心と体を断捨離する」と「自分の体を雑に扱ったらもったいない」の二つ。イヤな気持ちは早く心の外に出し、自分の思いを大切に慈しもうと思ったのでした。
今年もあと10日。脱・モヤモヤへの試み。これからも続けていきたいです。
(2021年12月21日)
【今週の一冊】
“Vaccines Did Not Cause Rachel’s Autism: My Journey As a Vaccine Scientist, Pediatrician, and Autism Dad” Peter J. Hotez, MD, PhD, Johns Hopkins University Press, 2018
英語の仕事に携わっているとは言え、なぜか手に取るのは和書ばかり。洋書はどうも身構えてしまいます。我ながらフシギです。想像するに日本語の場合、漢字「だけ」を拾い読みすれば素早く読めます。が、英語はオール・アルファベットから成り立つ単語ばかり。速読がしづらいがゆえについ敬遠してしまうのかもしれません。表向きはそんな理由。ホンネは「仕事の関連英文資料を読むので精一杯。放送通訳現場で英語のニュースサイトを読むとそれだけでクタクタ」といった感じです。
苦し紛れの言い訳はさておき、それでも洋書を無性に読みたくなることがあります。それは「自分にとって身近な著者」が書いた本。今回ご紹介するのはCNNで頻繁に番組ゲストで登場されるピーター・ホッテズ教授の一冊です。氏はワクチンの専門家であり、新型コロナウイルスのニュースが始まって以来、よく画面に出られるのですね。わかりづらい理系の話題を、視聴者が理解しやすいよう説明なさっています。
医学博士として重要な役職を担い、マスコミでも著名な教授。その華やかな経歴だけが目に入っていたのですが、プライベートでは自閉症のお嬢さんがおられます。昨今のアメリカでは、ワクチンと自閉症の関連性について世間が心無い説を流布させています。そのことに心を痛めておられ、それを一掃したいとの思いが本書には綴られています。
日本はアメリカと比べればさほどワクチン懐疑論は無いのですが、アメリカのワクチン抵抗論はすさまじく、医療最前線に立つ方々の苦労が本書からはしのばれます。ホッテズ教授は、自身の娘が自閉症になったのはワクチンが理由ではないと一貫して断言します。Epilogueには先生の主張がコンパクトにまとまっていますので、ここだけを読むのでも良いでしょう。また、巻末の充実したindexを参照に、自分の関心あるページをさかのぼって読むこともできます。医学書としても家族について考える一冊としても、充実した内容になっています。
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