第78回 5分だけ費やす
このコラムをお読みの皆さんは、日ごろどのように家事をなさっているでしょうか?まとめて土日にこなすという方もいらっしゃれば、毎日こまめに続けているという方もおられると思います。私はYahoo!のカレンダー機能に年間を通じてやるべき家事を書き込み、月ごとにカレンダーを印刷しています。その日の朝、カレンダーを見ては「今日はシーツ洗い」「明日はエアコンのフィルター掃除」という具合に、なるべく分散しながら家事を行えるようにしているのです。ただ、それでも書き 漏れてしまう細かい掃除項目があります。たとえば台所のタイルの目地が黒ずんでいたり、引き出しの中にホコリがたまっていたりというものです。そうした箇所を目にしては「ああ、ここも掃除しないと」と思いつつ、つい後回しになってしまいます。
しかし、先日読んだ本に、「1日5分で良いから掃除をする」という文章があり、これが大いに効果があることを実感しました。というのも「5分」というのはさほど長くありません。あっという間にたってしまう時間です。けれども実際にタイマーをかけて5分だけどこかを集中的に掃除をしてみると、意外なほどきれいになるのです。たとえば「今日は書斎の窓の桟だけ5分間きれいにする」とキッチンタイマーをセットして始めてみると、結構ピカピカになります。今まで窓を開けるたびに「汚れているなあ」と思いつつ見て見ぬふりをしていましたが、こうして少しでもきれいにしてみると、気持ちの面でもすっきりするのですね。
私はこれを掃除以外にも応用してみました。たとえば勉強です。本来であればまとまった時間を捻出して勉強したり仕事の予習をしたりしたいところです。けれどもなかなか普段あわただしいとそれも難しいもの。ただ、5分間だけと決めて集中してみると、予想以上にはかどるのです。たとえば「5分だけ新聞を読む」と決めたとしましょう。持ち時間は5分しかありませんから、じっくり読むわけにはいきません。リズムよく見出しだけを拾い読みしながらどんどんページをめくっていきます。そしてじっくり読みたいと思った記事には赤丸をつけ、あとでそのページだけ切り取ります。切り取った分は、電車の待ち時間など、隙間時間に読めば良いのです。少なくともその日の新聞には「全体的に目を通した」ことになりますので、積ン読を防ぐこともできます。
仕事の準備も同様です。大量の資料が届いた時も、5分だけタイマーをかけて、まずは「パラパラめくる作業」を行います。これで全体像をつかむことはできるはずです。図や太字で書かれた箇所、難しそうな単語など、ざっと見渡すだけでも自分がどれだけその後に勉強を進めるべきかの目安がわかってきます。通訳の資料というのはとにかく大量ですので、「いつか時間が空いたら全部きちんと読もう」と思うと、私の場合いつまでたっても取り組むことができません。ですので、とにかく5分でも目を通すようにして、その次の作業をどうすべきか検討するようにしています。
「5分だけ費やす」という考え方は、掃除や勉強以外にも応用できそうです。たとえば我が家では、子どもたちが話しかけてきても忙しいとつい「あとでね」と言ってしまいます。あるいは、子どもの話を聞きつつも頭の中は家事の段取りで上の空となることもあります。けれども、何か子どもが語りかけてきたら、せめて5分だけでも全身全霊を傾けて聞こうという気持ちになってみるのです。もちろん、状況によってはそれが難しいときもありますが、意外と我が家の場合、1~2分しっかりと聞いてあげると本人は満足して自分で何かをし始めているようです。
ネットサーフィンやSNSなどに取り組んでいれば、5分どころか数十分はあっという間に過ぎていきます。せめて一日のうちにどれだけ「5分だけ」何かに集中できるか、考えていきたいと思っています。
今回ご紹介するのは子ども向けの図鑑。図鑑や百科事典というと図書館で調べるものという印象が強いぐらい重厚である。けれども最近はどの図鑑も手ごろな価格で購入でき、テーマもたくさん出ている。「でも子ども向けだから内容が薄いのでは?」「ネットの無料百科事典の方が良いのでは?」とお考えの方もいると思う。
もちろん、わざわざ重くて場所を取るような図鑑を家にそろえるとなると、それなりのスペースも必要であろう。けれどもネットの無料百科事典の場合、誰もが書き込めるため、すべてが必ず正しいとは限らない。項目によっては修正が必要なものも多いと聞く。そうなるとやはり編集者のチェックがきちんと入った出版社発行のものに軍配が上がる。
本書は帯に「自由研究のヒントがいっぱい!!」とあるので、おそらく小学生が夏休みの宿題に活用することを念頭に置いたものであろう。けれどもページをめくってみると図も写真も豊富であり、すべての漢字は読み仮名つき。基礎の基礎から書かれているので、私のように中学以来理科は苦手という人でも読みやすい作りになっている。私はジュエリー関連の仕事を請け負ったのをきっかけで本書を購入したのだが、原石の特徴や硬さ、化学組成まで書かれており興味深い。宝飾品になる前はどのような形で埋まっていたのか、どこでとれるのかなどを知ることも、好奇心を大いに満たしてくれる。
他にも本書には「『銀河鉄道の夜』と水晶の砂」といったコラムがあり、石に因んだエピソードも紹介されている。仕事がきっかけで未知の世界を知ることも、私にとっては至福のひとときである。
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