INTERPRETATION

第36回 夏バテ復活キーワード10

柴原早苗

通訳者のひよこたちへ

連日の猛暑もようやく一段落。8月もいよいよ終盤に入りました。お盆休みを終えて職場に復帰する人、交代でこれから夏休みをとる人、新学期に向けて準備をする学生、夏休みの自由研究に取り組む小学生など、それぞれの立場で9月を迎えようとしています。

今年の夏は酷暑に加えて節電もあり、例年以上に救急車の音を耳にしました。熱中症が増えたのでしょうね。私自身、この夏はいつも以上にアイスキャンデーづくりに精を出したり、うなぎを食べに行ったりと、夏を乗り切る方法を色々と考えた数週間でした。ただ、どんなに工夫をしてもやはり疲れはたまるものです。そこで今回は夏バテや疲労・気力ダウンを克服するためのちょっとした工夫を10のキーワードでご説明しましょう。

(1)そろえる: 「しんどいな」と思った時に私が意識するのは「物をそろえる」ということ。たとえばタオルレールにかかっているタオルの角をそろえたり、玄関の靴をそろえたりという具合です。雑になっていたものをまっすぐにするだけで達成感が生じ、「やってよかった」という気持ちになります。

(2)削る・はがす: たとえば窓の桟にたまっているホコリを削ったり、商品についているシールをそっとはがしたりということも、小さな箇所ですが達成感を抱くことができます。無造作にはがしたままになっていたシールの跡を改めてはがしてみると、すっきりします。

(3)切る: 勉強途中で集中力が切れたときなど、私は「切る」という単純作業をしています。たとえばだし取り用のこんぶを小さく切って容器に入れておけば、料理ですぐに使えるようになります。

(4)磨く: こちらも気分転換によくやる作業です。やかんを磨いたり、机の上の汚れを拭いてからピカピカになるように磨いたりします。どんよりしていたものが輝きを見せてくれると嬉しくなります。

(5)拭く: 自分ではなかなか気づかないものの、お客様などにとって一番目立つのが窓や手すり、電気スイッチの汚れです。携帯電話やテレビ、PCの画面も同じで、あえて拭くように意識しています。

(6)書く: 文字を「入力」するのではなく、「自分の手を動かして書くこと」は究極の手作業セラピーだと私は思っています。ご無沙汰している人にハガキで近況報告をしてポストに投函する。その一連の作業で気持ちが前向きになれます。

(7)歩く: 脳を活性化するには体を動かすことが一番と言われています。スポーツクラブのマシンではなく、あえて外を歩いてみると自然の光景や音などからたくさんの刺激を受けることができます。一駅分歩く、あえて階段を上るなど、私は歩数計を励みによく歩いています。

(8)走る: 私の場合、走りすぎて最近は関節が痛いのですが、無理のない範囲で走れるときは走るようにしています。体をトータルで鍛えるには筋トレ系と有酸素系をバランスよく取り入れることが大切なので、ジムでも有酸素系プログラムは楽しみながら参加しています。

(9)なでる: 疲労を覚えたとき、マッサージに出かけるととても気持ちが良いですよね。プロに頼めなくても自分で目の周りや頭をなでたりツボ押ししたりするだけですっきりします。ペットをなでたり、子どもをなでたりするだけでも「命あるもの」から「気」をもらえるような気がします。

(10)聞く: 好きな音楽を聴くことで気持ちが前向きになれます。私の場合、リラックスしたいとき、元気になりたいときなど、心境に合わせて聞くレパートリーがいくつかあります。一方、朝の散歩ではあえて鳥や木々の音に耳を傾けることで、自然からのエネルギーをもらうようにしています。

以上、思いつくままに10個を挙げてみました。みなさんにとってどれか一つでもお役に立つアイデアがあればうれしいです。

(2011年8月22日)

【今週の一冊】

「わくわく朝ごはん」朝時間.jp、グラフ社 2009年

朝活、朝時間、朝英語など、ここ数年、朝の活動がずいぶん注目され、実践する人が増えてきた。早起きすれば夜と比べてたくさんのことに取り組めるし、ラッシュを避けて出社できたり、スポーツをして健康になったりと体にも心にも良いことづくめだからだ。私自身、子どもが生まれてからはもっぱら朝型生活で、ずいぶん時間をねん出できたように思う。ただ、無理は禁物なので、眠いときはあえて早起きせずに体力の回復に努めている。

今回ご紹介する本は、朝の活動をお勧めするサイト「朝時間.jp」がユーザーからまとめたレシピ。私は毎週土曜日に翌週7日分の献立をたてるのだが、こうしたレシピ本には参考になるメニューが多く、大いに重宝している。すべてそのまま作るのが無理でも、レシピに書かれている味付けやソースの部分だけ拝借して、手持ちの食材と合わせれば十分おいしい一品が完成する。

今回目から鱗だったのは「自家製ミューズリー」。我が家にはドライフルーツ、ナッツ、オートミールなどがそれぞれ保管されていたのだが、本書ではそうした食材をすべてひとつの空き容器にあらかじめ詰めておくというアイデアが書かれていた。早速実行したところ、出来上がったのはまさに市販のミューズリー。ヨーグルトにあえたり、牛乳をかけたりですぐに食べられるようになった。こうしたちょっとしたヒントにひとつでもありつけると、読んでよかったなと思う。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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