INTERPRETATION
第28回 奥深い通訳の世界
日野原重明先生が看て居られる平塚にあるピースハウスで、毎年のことながらまた大きな学びがありました。生きること、死に関することは、深く厳かなできごとですが,普段あまり考えもしなければ、何かを読むわけでもなく、話もしないため、適切な語彙の持ち合わせがなく、いかに日頃の自分の生活が表層的であるかを実感させられます。
今年のテーマは、「Loss and Grief–transforming suffering」で、 米国からは大学教授で臨床看護士が、カナダからは同じく大学教授で小児臨床心理学士を講師に迎え、 北は北海道から南は沖縄まで日本全国から の参加者と共に2日間にわたり、勉強会が おこなわれました。
「Loss and grief–transforming suffering」あなただったらどのように訳しますか?
翻訳すれば、「喪失と悲嘆–苦悩からの転換」となるのでしょうか?通訳の場合はどうでしょう。愛する人を亡くすことを「喪失」とは言えない。そして、どうしようもない悲しみを「悲嘆」でくくってしまうこともできない。特に、亡くなった方の遺族に対する適切な表現であるとは思えません。毎日、ホスピスで、あるいは、病院で医師として、看護士として、ソーシャルワーカーとして甲斐甲斐しく立ち振る舞う人とて同じ気持ちでいるのではないか、と思います。「悲嘆」は悲しんで嘆くと書きますが 、「 深い悲しみ」と言った方がより心が通うのではないでしょうか。通訳の仕事は、心が伝わってはじめてプロと言えるのではないかと思います。
原 不二子
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