INTERPRETATION
第26回 和の「こころ」と英の「マインド」
どの文化においても、また言葉が違っても「ネコ」は「ネコ」であり、「トリ」は「トリ」なのでしょうが、とりわけ「人の心」や「精神」のこととなると、通訳をしていて壁にぶつかったことのある方も多いと思います。
例えば、私たちは「心」という言葉の境界線がどこにあるのか、よく迷うことがあります。辞書には「精神的特質」や「心性」を表す言葉として「the human heart」、「human psychology」、「a mentality」、「the mind」、「the emotions」、「feelings」 など、「心理」、「知能」、「知力」、「精神力」の広範な概念が含まれ通訳者を泣かせますが、英語でも「マインド(mind)」という言葉は、「精神」、「心」、「意識」というように幅広い意味で使われるのです。
ロンドンの地下鉄で車掌が「Mind the gap!」と声をかければ、「ホームと電車の間があいています。注意してください。」という意味ですし、「to have a sound mind」と言えば「正気」のこと、「I will put my mind to it」は「本気でやる」、「My mind is all over the place」は「気が散って考えられない」という解釈になります。
しかしながら、英語は意味が明瞭であり、曖昧さが多い日本語とは異なります。言葉は使う人、使われる状況、それを受け取る人によって幅広い含蓄があるわけです。とすれば、辞書はあくまでも参考にしかならず、相手と状況に応じて最も適切な言葉を選ぶことのできる通訳者がコミュニケーションに長けていると言えるのではないかと思います。
原 不二子
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