第22回 グローバルコミュニケーションは足下から
先日、寛仁親王殿下主催の柏朋会の納会がありました。柏朋会は殿下が会長を務められている福祉団体で、「柏」(かしわ)は、殿下のお印でもあります。納会には、全国の福祉・障害の分野で活躍している方々が多数お見えでした。 脳性麻痺の女の子をはじめ、車椅子で来られた方、アメリカから駆けつけた方など、皆さん、殿下が長年にわたり心を寄せられて支援しておられる個人、グループや団体 です。納会も35回目を迎えるということでした。
そこで、つい最近トルコ大地震の被災者救済のために、NPO難民を助ける会から派遣されていた女性に会いました。一緒に行った彼女の同僚が崩壊した宿泊先のホテルで亡くなったのは、つい先日のことです。彼女は、気丈にも「また戻って仕事をしたい」と皆さんの前で覚悟を語りました。また、同じ難民を助ける会の方で、京都外国語大学就学中に提携先の米国の大学で学び、最後は英国の大学で人類学の博士号を取得した方と話しをする機会がありました。「次の研究テーマを模索中」とおっしゃられたので、私は宿題を出しました。
日本は少子化により労働力の減少は避けられず、将来は、他の国の人たちに助けてもらわなければいけなくなることは必須。にもかかわらず、難民認定を受け日本へ来た人たちの多くは、社会に溶け込めずに寂しい思いをしているか、第三国へ移住している。さらに、外国から働きに来たい人たちを快く受け入れる準備がない。法律の整備ができていないばかりか、社会が受け止める用意がない。是非、その原因やその解決方法について人類学的に研究して欲しいとお願いしました。
グローバルコミュニケーションは外国語を流暢に話すことだけではありません。異なる文化や異なる生活習慣を持つ人たちを受け入れ、その人たちにも日本の文化を受け入れてもらい、互いに心をひとつにして彼我に良い社会を一緒に つくることではないかと思います。
原 不二子
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