第20回 TPPについて学んだこと
近頃、盛んに日本のTPPへの参加の可否が議論されていましたが、ハワイで開催されているAPEC会議において、11月11日、野田首相がオバマ米大統領に日本参加の意思を伝えたことが報道されました。TPPは別名、環太平洋戦略的経済連携協定といわれるそうですが、日本国内における議論は往々にして中身の説明がなく、賛否だけが取り沙汰されていることが問題です。
東日本大地震以来、世界各地から支援が寄せられたこともあり、私は改めて「日本は世界の一部なのだから、地球市民としての視点で考え行動しなければ」と自分に言い聞かせていたところでした。考えてみれば、近代日本の建設はアメリカに迫られた開国で始まったのではなかったか。TPPも新たな開国を迫られているのと同じことと理解して全力投球をしたらよいのではないかと思っていた矢先に、尾崎行雄記念財団で開催されたオランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏による「日本をとりまく罠」と題した講演での通訳を依頼されました。
TPPは当初、ブルネイ、チリー、ニュージーランドとシンガポール間のみの協定でしたが、アメリカが参加するようになってからは、その性格が全く異なったことを同氏は指摘されました。また、中国とロシアには参加が求められていないことから、旧共産国といわゆる「自由世界諸国」との間に隙間をつくることにならないか。中国では、目覚ましい経済成長により中産階級が拡大し、日本にとっても重要な市場のひとつとなりつつあるが、日中関係に水を差すことになりはしないか。さらに、モンサント社のようなアメリカの巨大企業が関係してくることで、日本の農業は破壊されてしまうのではないか…。
ウォルフレン氏の見解を通訳しながら、何故このような大事な情報がメディアで取り
上げられないのかと不審に思いました。どの情報を信用するかは個人次第ですが、常に考えせられ、学ぶことが多い通訳の仕事はやはり魅力的であると思います。
原 不二子
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