INTERPRETATION
第16回 「想定外」は通訳者には通用しない
3月11日の東日本大震災以来、「想定外でした」という言葉があちこちで頻繁に使われ、あたかも「仕方がなかった」という決論が導かれようとしています。
多言語、多文化間のコミュニケーションを担う私たち通訳者に「想定外」は通用しません。演者から原稿をいただくこともありますが、いただかないことの方が多く、仮に原稿をいただいていても、その通りに読まれる、発言されることはむしろ稀です。現場での危機管理が期待されるのです。そのために、日頃の研鑽を怠らず、取り上げられるであろう諸問題について事前に勉強をして仕事に臨むことが必要になります。また、現場では、同時通訳機材が思うように機能しないこともあります。床を這っている電線に人が躓いて切れてしまったこと、エンジニアが席を外していてマイクがオンにならなかったこともありました。与えられた環境で最善を尽くすのが通訳者としての務めなのです。
私たちは、通訳者であると同時に有権者でもあります。不慮の事故、災害を想定してそれに備えるのが、国民の生命財産を護る立場にある政府の役目であり、そのために納税しているのです。立法府、行政府、司法府から成り立つ政府が、国民の生命財産、国益、国の安全保障を護る機能を果たすよう、管理責任を託されるのが、私たち有権者が選出する政治家であるはずなのです。有事を想定することが仕事であるはずの人たちが責務を怠ると、その付けが国民に回ってきます。それを分かっていて何もしない政治家は、無責任で無能、政治家失格です。私たちは、自身が有権者として票を投じた政治家に対して叱咤激励する責任もあると思うのです。
原 不二子
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