INTERPRETATION

Vol.3 ディナーラ・ゴレエヴァさん「日本での可能性を求めて」

ハイキャリア編集部

多言語通訳者・翻訳者インタビュー

【プロフィール】
ディナーラ・ゴレエヴァさん
Dinara Goreeva
タシケント国立東洋大学日本語日本文学科在学中より、日本国際協力事業団(JICA)にてプロジェクト通訳を務める。大学卒業後、在ウズベキスタン日本大使館に通訳翻訳者として勤務。2002年来日、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科にて研究を行うとともに、フリーランスロシア語通訳者として活躍中。

母国語はロシア語だと伺いましたが。
幼稚園からロシア語の教育で育ちました。ウズベキスタンが独立した今では、70%がウズベク語の教育になりましたが、当時はロシアの勢力が強かったので、ほとんどの人がロシア語教育を受けていました。日常会話程度のウズベク語は話せますが、通訳翻訳レベルではありません。エージェントの方には「ウズベキスタン出身なのに?」と、驚かれるのですが(笑)。

日本語を勉強しようと思ったきっかけは?
英語の他に、もう1言語やりたいと思っていたので、大学で日本語を専攻しました。もともとアジア言語に興味があったことと、周りが皆ヨーロッパ言語を選択していたので、何か違うことをやりたいと思って始めました。日本語の文法は、ウズベク語と非常に似ているので、そういう意味では入りやすかったです。ウズベキスタンに留学している日本人も、最近はロシア語ではなく、ウズベク語を選択する人が多いんですよ! きっと日本人にとっても、勉強しやすい言葉なのだと思います。

通訳を目指そうと思ったのは?
大学3年のときに、先生の推薦でJICA水道局プロジェクトに派遣されたんです。初めて通訳を経験したんですが、とても面白く、是非とも将来の仕事にしたいと思いました。当時の日本語力は未熟でしたが、大学の通訳講座や、ロシアで発行されている通訳理論のテキストを元に勉強しました。

日本大使館でのご勤務を経て、2002年に日本にいらっしゃったのですか。
そうなんです。大使館では、主に日本文化、教育関連業務、イベントのオーガナイズを担当し、それに付随する通訳翻訳業務も行いました。毎年、日本文化月間の時期はかなり忙しかったです。通訳に関しても、専門性が要求されるので、とにかく語彙を増やすために、新聞や本を読んで勉強しました。
そうこうするうちに、どうしても日本に行ってみたい! という気持ちが出てきたんです。これまで日本語を勉強してきたので、今度は日本で何か専門的なことを勉強したいと思うようになりました。ちょうどその頃、愛知県の豊田バレエ学校から通訳のオファーがあり、日本に行けるチャンス! と思い、迷わず行くことにしました。

現在は大学に?
横浜国立大学の研究生で、国際法を勉強しています。今まで国際法について勉強したことがなかったので、最初は研究生という形で大学に入りました。今月入学試験があって、合格しました! 来年4月、晴れて大学院1年生になります。
法律にはずっと興味を持っていましたが、当時ウズベキスタンに専門家がほとんどいませんでした。日本では、手に入る文献の量も違いますし、今こうやって勉強できることを幸せに感じています。

ショーの振り付け通訳も担当されていらっしゃると伺いましたが。
芸術関係の仕事は、本当に楽しいです。振り付け、リハーサル、本番と何度も見ましたが、いつ見ても感動します。途中から英語通訳もお願いされ、ロシア語・英語・日本語の3言語で通訳したこともありました。
ショーの出演者と勘違いされたことがあるんです。ある時、コスチューム担当者が現場にいる私を見て、「あら! まだ全然着替えてないし、お化粧もしていないじゃない!」と大騒ぎになりました。「私は通訳者です」と弁解しましたが、あれにはびっくりしました。

現在のスケジュールは?
ロシア語の依頼は毎日あるわけではないので、翻訳をすることもあります。大学は、来年から忙しくなるかもしれませんが、今は研究生なので、割と自由にスケジュールが組めていいですね。

休日はどのようにお過ごしでしょうか。
体を動かすことが好きなので、時間があるときにはジムに通っています。家の近くにスポーツクラブがあるんですよ。それ以外は、映画を観に行ったり、友人に会ったり。学生なので、「飲み会」に行くこともあります(笑)。ウズベキスタンには飲み会がないんですよ。日本の食べ物はおいしいので、いろんなところに行くのは楽しみです。納豆を初めて食べたときは、その強いにおいが好きになれなかったんですが、今では常に冷蔵庫に入っています。これを食べないと、死んじゃう! と思うぐらいに好きになりました。

今後のキャリアプランは?
まずは大学院卒業が目標ですが、今後少なくとも5-6年は日本にいると思います。卒業後も、日本で仕事ができればいいなと考えています。
まだ決めてはいませんが、言葉だけよりも、それを生かして何か専門的なことができるといいですね。ベストは、国際法に関しての仕事です。そのために、これからがんばって勉強します!

【編集後記】

ショー出演者と間違われた、というエピソードには納得! 見とれてしまいました。現在24歳ということですが、夢に向かってコツコツ努力されている姿は、本当に素敵です。日本での生活も楽しんでいらっしゃるようで、「飲み会」という言葉がディナーラさんから出てきたときには、びっくりしました!</t

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テンナイン・コミュニケーション編集部です。
通訳、翻訳、英語教育に関する記事を幅広く発信していきます。

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