第143回 あなたはFOMO派? それともJOMO派?
こんにちは。7月も終わりとなりましたね。今月は日本や欧州だけでなく世界的に異常気象が続いたようですが、読者の皆様がご無事であることを願っております。ふだんはどんより空や雨が多いことで知られるイギリスですが、今年の夏は快晴続き。最初はみな喜んでいましたが、1カ月以上続くと芝が枯れ始め、農作物や家畜に影響が出て、暑さも増して耐えがたくなりました。幸い、この週末はやっと雨が降って一段落のようです。
ところで、皆さんはどのくらいSNSをお使いになりますか? FOMO(「フォゥモゥ」と発音)やJOMO(「ジョゥモゥ」と発音)というSNSの利用増加と共に使われ始めた言葉はご存知でしょうか。今回は、この二つの言葉を解説します。
まずFOMOはFear of Missing Outの略で21世紀に入ってから使われ始めたようです。直訳すると「見逃す/取り残されることへの恐れ」ですが、「自分が知らない間に何か楽しいことがあったのでは?」「何か重大なニュースを見逃したのでは?」などと気になって、SNSに依存してしまうことを指します。友達や家族と食事をしている最中もついついスマホに手が伸びてSNSをチェックしてしまう現象も含まれます。
ただSNSの世界だけでなく、実生活においてもFOMO(取り残されることへの恐れ)から社会人が出る必要のない会議に出席したり、peer pressure(周囲がやっているから自分もやらないと…と感じるプレッシャー)で密かに借金をしてでもイベントに参加したり、要らないものを購入したり、高額の旅行に行ったりする人が増えているようです。後者の現象はFOMO spendingとしても知られています(参考記事)。Keep up with Joneses(Jonesはアメリカで一般的な姓。「隣人と張り合う/世間に後れを取らない」などの意)という表現が以前から定着している通り、peer pressureによる行動は日本でも西洋でも昔からありますが、SNSによってその度合いが増していると言えるでしょう。FOMOのためにうつ病になったり、借金が増えたり、実生活での人間関係にひびが入ったりなどの問題が起きているようです。
そしてFOMOにうんざりした人が逆の行動を取るようになりました。それがJOMO、Joy of Missing Outです。urban dictionaryでは、You’re enjoying what you’re doing in the here and now and not on social media broadcasting or seeing what everybody else is doingと定義されています。SNSの世界から離れ、今この瞬間に集中するmindfulnessの考え方と似ていますね。
皆さんは、FOMOを感じますか。それともJOMOを満喫されていますか? 私はFacebook、Twitter、LinkedInなどのSNSを使っていますが、「時間を忘れてついつい…」ってことはないように気を付けています。SNSを通じて、たくさんのいい出会いもあり、別に今のところ嫌な思いもほとんどないので(touch wood)適宜使っていくつもりです。海外暮らしでも日本の人たちとつながっていられるのは大きな魅力です。ただJOMOというかMindfulnessも大切にしています。
ところで先日、メディア業界の特定の分野において第一人者と言われる方の通訳をしました。一見ふつうっぽく見える気さくな方ですが、仕事となると非常にこだわりがあり、周囲の意見はまったく気にしないGoing My Wayタイプ。やっぱり人の目を気にしていてはトップにはなれないんだなあ、と実感しました。SNSはうまく使って、FOMO で苦しむことのないように気を付けましょう!
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