第136回 ロイヤルウェディング・スペシャル
皆さん、こんにちは。先週の土曜、ついにヘンリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式が行われました。日本ではちょうどゴールデンタイムだったのでご覧になった方も多かったのではないでしょうか。
心配されたお天気ですが、これ以上の快晴はない!というほど晴れ渡った素敵な日となりました。ということで、今回はロイヤルウェディング関連ニュースで気になった表現を取り上げます。
1.名前の表記
まず、花嫁の名前ですが、英語ではMeghan Markle。ファーストネームの発音はカタカナでは絶対に「メガン」ですが、日本語での報道は「メーガン」でほぼ統一されているようですね。また姓のMarkleは英語ではドイツ首相Merkelの英語発音と似ていますが、ドイツ首相は「メルケル」、こちらは「マークル」。細かいことですが、ちょっと気になりました。ヘンリー王子は、英語ではPrince Harry。義姉のキャサリン妃は、Kate。
2.「バージンロード」は英語で何という?
元々はメーガン・マークルさんの父親がメーガンさんとバージンロードを一緒に歩く予定でしたが、一連のメディア騒動の後、結局は健康上の理由で欠席。代わってヘンリー王子の父親チャールズ皇太子がその役を引き受たことが話題となりました。「バージンロード」とは、キリスト教の結婚式で式場の入り口から祭壇に至る通路を指します。今まで歩んできた道とも言われ、そこを父親と歩き、その先で待っている新郎に新婦(娘)を引き渡すという結婚式の重要なシーンです。では、「バージンロード」を英語では何というでしょう?
これは和製英語なのでvirgin roadでは通じず、単にthe aisle(またはthe wedding aisle)と言います。父親に付き添われて歩くことはwalking down the aisle。
3.「ハーフ」は英語で何という?
お兄さんのウィリアム王子が結婚したキャサリン妃は、大学時代の恋人同士。卒業後、5年ほど交際を続けた後での結婚。しかも、いかにも良家のお嬢様というバックグラウンドのキャサリン妃との結婚に対して反対する人はいなかったのに対して、メーガンさんは黒人との「ハーフ」で、離婚歴あり、ハリー王子より3つ年上のアメリカ人。私は、メーガンさんのことを初めて知ったとき、単に「素敵な人だな。二人はとってもお似合いで幸せそうだな」と嬉しく思ったので、上記の理由により差別発言が多くあったと聞いて驚きました。では、「ハーフ」は英語では何と言うでしょう?
こちらも和製英語ですね。英語では単にhalfだけは使わず、halfの後に「何なのか」を付け足して、イギリス人と日本人の「ハーフ」だとhalf Japanese and half Englishと言えます。ただしhalf(半分)という考え方を否定的に受け止める人も多くいます。そのためか、mixed raceという表現をよく見聞きします。メーガンさんの場合は、こちらの記事でI am half black and half whiteと言いながらもYet when your ethnicity is black and white, the dichotomy is not that clear. In fact, it creates a grey area と付け足しています。「halfとは呼ばずにdoubleと呼ぼう」と主張する人たちもいますが、なかなか浸透していないのが現実のようです。日英「ハーフ」だと、I am both Japanese and EnglishとかMy mother is Japaneseのような表現で自己紹介しています(そのことは誇りに思ってくれているようで嬉しいです)。ちなみに祖父母の一人が日本人だと、I am a quarter Japanese.
ロイヤルウェディングでは、多様性を積極的に取り入れた工夫がいくつもなされていましたね。伝統的な英国の王室にも変化が現れたことが明確となった結婚式でした。
4.「バツイチ」は英語で何という?
一度離婚したことがある人のことですが、英語ではいちいち1度か2度か…という説明はなく、She is a divorceeとか、She is divorced, She’s had a previous marriage、またはwith a previous marriageなどと付け加えることができます。家族形態が多様化した時代において離婚歴を気にするのは意味がないことで、こちらも英国王室に受け入れられてよかったと思います。
5.「馬車」は英語で何という?
結婚式を終えた後、ハリー王子とメーガンさんは馬車に乗ってウィンザー市内をパレードし、多くの人々の祝福を受けました。では、「馬車」は英語では何と言うでしょうか。
「馬が引く車」ということを説明したければ、horse-drawn carriageと言えますが、ふつうは単にcarriage。今回は、お天気にも恵まれ、ルーフのない馬車でパレードしました(Prince Harry and Meghan Markle travelled in an open carriage)。
以上、ロイヤルウェディングについて日英のニュースを視聴しながら気になった表現を取り上げました。通訳の現場でも雑談時など役立つ場面があれば幸いです。
見るからにラブラブのお二人、末永い幸せをお祈り申し上げます。
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