第133回 貿易関連用語
皆さん、こんにちは。やっと少しは暖かくなったものの相変わらずどんより空のイギリスからお届けしています。
先月下旬から貿易戦争や貿易摩擦などという言葉をよく見聞きするようになりました。トランプ大統領が選挙公約に挙げていた「貿易不均衡の是正」として強硬な通商政策を実行に移し始めたのがきっかけです。
4月に入り、中国側は豚肉やワインなど米国からの輸入品に追加関税を課すなどの報復措置を発表しています。また先週は、「米国がTPP(環太平洋経済連携協定)に復帰検討」というニュースも流れました。そこで今回は、貿易関連用語を取り上げます。
1.貿易戦争 (trade war)
複数の国々が互いの輸入品への関税を引き上げたり、輸入制限を設けたりして保護主義的な政策を取ることを指します。トランプ大統領は自国の産業活性化を求め、貿易赤字を減らそうとして行っているようで、”trade wars are good, and easy to win” ともツィートしています。日本語では「貿易摩擦」という言葉がよく使われますが、英語メディアでtrade frictionはそれほど使われていないように思います。
2.関税(tariff)
輸入品に課せられる税金を「関税」と言いますが、英語ではtariffの他にもcustoms duty, import dutyや単にlevyも使われます(levyは、levy a tax on ~と動詞用法もあり)。関税がかけられる(引き上げられる)と輸入品の値段が上がり、競争力を失います。そのため国内製品・産業の保護につながると考えられています。
3.報復(retaliation)
嫌なことをされたときに仕返しするのが報復 (retaliate動/ retaliation名)ですが、よく似た言葉にreciprocate (動) /reciprocity (名)があります(発音がちょっと難しい。動詞はrisíprəkèit と第二音節にアクセントですが名詞はrèsəprɑ́sətiと第三音節にアクセント)。こちらはどちらかと言うと恩返しのように良いことをされたときのお返し。けれども、今回中国側はAs the Chinese saying goes, it is only polite to reciprocate(中国のことわざ通り、〝お返し”しないと失礼にあたりますので)とユーモアと皮肉を込めて報復措置を発表しました。
4.貿易赤字(trade deficit)
輸入額が輸出額を超過している場合を指します。赤字(deficit)というと日本語でも英語でもマイナスの印象がありますが、必ずしもその国にとってマイナスという悪い話ではありません。輸入しなければいけないほど国内消費が旺盛であり、自国の通貨も高く評価されているために起きがちな現象だからです。したがって、トランプ大統領の貿易に対する理解が足りないと指摘する声もあります。
5.貿易黒字(trade surplus)
貿易赤字の逆で輸出が輸入を超過している場合を指します。4月13日の発表(1~3月期)では、中国は1年ぶりに貿易赤字を出しましたが、対米では貿易黒字が19.4%も上昇したとのこと。
以上、最近話題になることが多い「貿易」を取り上げました。今後の米中の動きによっては、日本にも大きな影響が及ぶことになるので、引き続き要注目のトピックです。
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