第66回 flashの意味、いくつ言えますか? 品詞は何でしょう?
皆さん、こんにちは。今日はflashという言葉に焦点を当てて解説したいと思います。flash、本コラムをお読みの皆さまなら一度は見聞きしたことがあると思いますが、どんな意味が思いつきますか? どんな場面で使われ、品詞は何でしょう?
この名前の雑誌はさておき、まず日本語に浸透しているカタカナの「フラッシュ」、つまり暗いところでカメラ撮影するときに使う「フラッシュ」はこの英語から来ています(名詞用法)。けれども、他の意味でもよく見かけるので、これだけでコラム1回分のネタになるなあ、と思った次第です。
自然な訳語、見やすいレイアウトで定評のある『ロングマン英和辞典』(失礼、ちょっと宣伝っぽいですね…)によると、まずは動詞用法として「ぴかっと光る」「ぱっと映し出される」「(笑顔など)をちらっと見せる」「(ニュース・情報など)を速報する」「あっという間に過ぎ去る」など9つの語義が掲載されています。翻通訳者の大親友『英辞郎』には他動詞だけで16もの語義が出ているのでどうぞ一度ゆっくりご覧ください。だいたいどの辞書でも下の方に掲載されている語義は「(俗)(人前で)性器をちらっと見せる」ですが、いずれにしても、ほとんどの語義に共通しているのは「一瞬/非常に短い時間」というニュアンスですね。
形容詞用法では「派手な、高級品っぽい」のような別の意味でも使われますが、最近目にした3つ用例を取り上げます。
1.flash crash
「フラッシュクラッシュ」または「瞬間暴落」「瞬間的相場暴落」などと訳され、最も有名なケースは2010年の5月、わずか数分のうちにダウ平均が1000ドル近く下落したことですが、この現象が10月7日に起きました。今回起きたflash crashは株価ではなくて、英国の通貨、ポンドです。わずか1分間に6%も暴落し、7分後には3.5%取り戻す大混乱が起きました。イギリス時間の夜中に起きたことからも、原因はアルゴリズム取引の連鎖的な反応と考えられています。つまり、欧州の政治家の発言を受けてコンピュータによる自動取引が過剰反応したということです。
2.flash sale
マーケティングの一つ、「あと~時間で、特別価格が終わりますよー」と消費者の気持ちを煽ります。消費者向けのメッセージなら「今だけ特別価格」が適訳かもしれません。業界用語としては「フラッシュセール」というカナカナ語も使われているようです。「在庫に限りあり」「会員限定」「今だけ」のようなうたい文句につられて、ついつい買ってしまったという経験はありませんか? 悔しいけど、私はあります……。
3.flash flood
今年のイギリスは珍しく天気のいい日が多いのですが、大雨の後にはよく見かける表現です。洪水は洪水でも、じわじわと水が押し寄せるのではなく、一気に水があふれる状態で「鉄砲水」とも訳されます。
以上の3つの用例もやはり「一瞬/短時間」というニュアンスが含まれていますね。金融の専門用語からちょっとお下品な意味まで、幅広い意味を持つflashの解説でした。
では、皆さん、flash saleを見かけたら本コラムをさっと思い出し(flash back to this article)、ちらっと笑顔を浮かべ (flash a smile)、買うか買わないかのご判断をしていただければ幸いです。また日頃の地道な努力が一瞬の成功(a flash in the pan)で終わらないことを願います。
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