第128回 数字に強くなるために その2
皆さん、こんにちは。先週、欧州には大寒波が訪れ、大雪で学校は休校になり、交通マヒも発生し大変でした。春が待ち遠しいです。
さて、前回から「数字に強くなるために」の連載を始めました。通訳の場では、どんな分野であってもなんらかの数字が出てくるものなので、一度正面から取り組んで苦手意識を克服できるとよいと思います。
単純な数字の日<>英変換練習以外にも対策方法があります。今回は、前回取り上げた5つの点のうちの5つ目「数字と共に使われる表現」を取り上げます。
通訳をしているときに数字が聞こえると、その数字を書き取って変換することにエネルギーが費やされて、その数字がどういう文脈で使われているかを逃してしまったり、適切な動詞などがさっと出てこないことがよくあります。そこで、数字と共に使われる表現をしっかり学んでおくと、文脈の中でうまく数字を訳出しすることができるようになります。
数字が出る文脈はざっくり、「増加」「減少」「横ばい」「反発」「反落」に分けられると思います。そこで、それぞれのカテゴリーの類語を日本語・英語の両方で能動的に使えるように学んでおくと役に立ちます。
例えば「増加」の場合、日本語ではどんな類語が思い浮かびますか?
「増える、伸びる、高まる、引き上げる、上向く」のような大和言葉のほか、「上昇、増大、増量、増額、拡大」などがあります。また、その増加の程度が激しいと、「急騰、高騰、急増、急上昇、跳ね上がる」などが使われます。徐々に増える場合は、「微増、漸増」など。さらには、何かと比べて「超える、追い越す、追い抜く」などの表現も使われます。
次に、英語で考えてみましょう。
もっとも一般的に使われるのがincrease。給料や価格、速度、重量など色々な場合に使えます。動詞・名詞ではアクセントの位置が異なるので気を付けましょう。
on the increase(増加中)という成句もよく使われます。
他にも文脈によって、rise, raise, grow, enlarge, expand, appreciate, go upなどが使われます。
「急騰・急上昇」だと、soar, skyrocket, snowball, surge, jump, multiply, inflateなど。
例:Unemployment has soared. (失業率が急増した)
一方、「徐々に増える」は、to increase graduallyや品詞を変えてgradual increaseとも言えますが、tick up, edge up, inch upなどの句動詞も覚えておくと便利です。
例:The unemployment rate ticked up to 5.4% in February from 5.3% in January. (2月の失業率は、1月の5.3%から微増し5.4%だった)
「追い越す、超える」の場合は、exceed, surpass, outnumber, topなどがあります。
例:Wind speeds exceeded 90 miles per hour. (風速が時速90マイルを超えた)
The cost for the project may top £50 million. (本プロジェクトのコストは5000万ポンドを超えるかもしれない)
以上、数字に強くなるために「増加」の類語を日本語と英語の両方で紹介しました。お役に立てば幸いです。
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