第122回 How many words do you need to speak a language?
早くも一月下旬。この時期になると、「新年の決意は続かず、寒さは厳しく、懐が寂しい」と落ち込む人が多いそうですが、皆さまだいじょうぶでしょうか。
日本人の間でよくある新年の抱負(new year’s resolution)には「今年こそ英語が話せるようになりたい!」が含まれる一方、英語圏のイギリスでは、”Learn a new language” がよく挙げられるそうです。そこで、今日はPodcastのMore or Less: Behind the Statistics (BBC Radio 4) (16’24″~)で聞いた興味深い内容をお伝えし、それに関連し辞書のお話をします。
このPodcastでHow many words a native English speaker knows and uses(英語母語話者は何語知っていて、何語使うのか)について取り上げています。一般的には、教育を受けた人が理解できる語(passive vocabulary: 受動語彙)は15,000~20,000語だそうです。
ところが英語の学習者の場合、2,000~3,000語の壁をなかなか越えられないらしく、また超えたとしても学んだ語がmost frequently used words(使用頻度の高い語)ではない問題が指摘されています。例えば、tremendousという言葉を知っていてもgreatを知らない場合などです。greatは日常的に聞く言葉ですが、同義語のtremendousはあまり聞かれないので、頻度の高い語に焦点を置いて学んだ方がいいというアドバイスです。
また最も頻度の高い800語が英語全体に占める割合はなんと75%だそうです。そしてこの800語という基礎がしっかりしていると頻度の低い語も学びやすくなるということでした。
ここで紹介したいのはロングマン英和辞典とロングマン英英辞典です。
まずロングマン現代英英辞典(LDOS、「エルドス」と発音)には次の特徴があります。
*定義語彙:すべての見出し語がThe Longman Defining Vocabularyと呼ばれる約2000語で説明されています。ですから、その2000語を知っていると同辞書の定義(definitions)が理解できるので「初めて使う英英辞典」としてお勧めの辞書です。
そして、ロングマン英和辞典とLDOSの両方で次の特徴があります。
*頻度表示:ロングマン独自のコーパスに基づき話し言葉(S)と書き言葉(W)のそれぞれの頻度上位3000語について、3段階で頻度が表示されています。コーパスとは、膨大なテキスト(話し言葉も含む)のデータベースです。英和辞典の方は、JACET(大学英語教育学会)の分類による頻度も表示されています。ここで、前述のtremendousを引くと頻度表示がないのに対し、greatにはS1、W1、J1の表示がついていることが分かります。つまりtremendousは話し言葉でも書き言葉でも上位3000語に入っていないのに対し、greatは話し言葉でも書き言葉でも上位1000語に入っているということです。
*語義の順序:もう一つのロングマン辞書の特徴は、頻度順の語義説明です。
ほとんどの見出し語(headwords)には複数の語義がありますが、ロングマンでは最も頻度が高い語義から説明されています。それに対し、言葉の歴史に重点を置くオックスフォード辞書では、etymology(語源)から説明されています。例えば、bankを両方の辞書で調べてみると、ロングマンでは「銀行」が第1語義ですが、オックスフォードでは「川岸」が第1語義となっています。
基本的な会話をするためには1000語くらいを使いこなせればいいとのことですが、通訳者は多くの専門用語も学ぶ必要がありますし、理解できるだけではなくて使えるレベルactive vocabulary (能動語彙)にしなければならず、延々と学びが続きます。
在英20年の今でも毎日悲しいくらい新しい英単語に出会います(涙)。それでも、昨日まで知らなかったことを学ぶのは喜びであり、あきらめずに頑張りたいと思います。
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