第113回 カタルーニャ、州OR国? どうなるのか?!
皆さん、こんにちは。今週はスペイン/カタルーニャの問題を取り上げたいと思います。「カタルーニャ」よりも「バルセロナ」のほうがきっと馴染み深い地名でしょう。州都バルセロナ(都市の名前)がカタルーニャ(州の名前)の人口や経済活動の大部分を占めています。拙訳書『ゴールは偶然の産物ではない』は、バルセロナのサッカークラブ「バルサ」がいかに破たん寸前の経営を立て直したかが書かれている経営書ですが、本書でもバルサがカタルーニャの文化や歴史を重んじてきたことが何度か言及されています。
スペインという国に属するカタルーニャ州は、もともと独自の歴史や習慣、言語を持ち、以前から独立運動の動きはありましたが、10月27日についに独立宣言を行いました。そこで英エコノミスト誌の記事「Catalonia’s parliament declares independence; Spain imposes direct rule」より関連用語を取り上げます。
・まずは地名「カタルーニャ」ですが、英語ではCataloniaという綴りで「カタロニア」と発音します。通常の日本語表記「カタルーニャ」はカタルーニャ語「Catalunya」の発音に近いようです(スペイン語ではCataluñaと表記)。形容詞形はCatalan。
・parliament: カタルーニャの場合「州議会」と訳されますが、イギリス議会(国レベル)や欧州議会(超国家レベル)でもparliamentが使われます。(注:スペイン国会は通称Congress、米連邦議会もCongress、日本の国会はDiet、フランス国民議会はNational Assembly)
・declares independence: 「独立を宣言する」→「独立宣言をする」
・direct rule: 「直接統治」。スペイン中央政府はこれまでカタルーニャ州に自治権を認めてきたが、独立宣言を受け、自治権を停止して直接統治をすると発表。
・Mariano Rajoy:「マリアノ・ラホイ」、2011年よりスペインの首相を務めている。
・Carles Puigdemont:「カルレス・プチデモン(プッチダモンという表記もあり)」、カタルーニャ州首相。独立宣言後、中央政府から解任を言い渡されているが、まだあきらめていない。
・announced the immediate dismissal of the Catalan government and parliament, and called a fresh regional election for December 21st: 「即、カタルーニャ自治州政府の閣僚を解任し、議会を解散、さらに12月21日に選挙を実施すると発表した」。
以上、カタルーニャ独立に関する関連用語をいくつか取り上げました。
カタルーニャだけでなく、スペインの他の地域でも独立または統一を支持する人々が抗議活動をしており、大変な混乱状態です。いくらカタルーニャが独立宣言をしても、他国や国際機関が「独立国」と認めなければ正式な国としての機能は限定的です。私が通訳者として参加した某国際会議でも主催者側が国家承認をしていない「地域」が「国の代表」として出席しようとして大混乱が起きたこともあります。Islamic State(IS)のように国家樹立を宣言していてもどこからも承認されていない場合は別として、一部の国や国際機関のみが国家承認をしている場合もあり、そもそも「国」とは何なのかを考えさせられる問題です。
カタルーニャ問題が早期円満解決することを望んでいます。
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