INTERPRETATION

第110回 信号機の3つの色を英語で言うと?

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。今週も東京からお届けしています。先週は東京で開催された某国際会議でVIPの同行通訳をしていました。「VIPの同行通訳」とは経験がなくてもご想像がつく通り、ずっとVIPに付き添って必要に応じ通訳(逐次ORウィスパ)をします。大きな会議ではブースから同時通訳が入るので、その場合VIPの隣に座り、他の通訳者の同時通訳を聞くこともできるという役得があります。自分自身、通訳者として少しいやらしい行為にも思えますが、会議出席者として同通を聞けるまれなチャンスを逃すわけにはいきません。他のプロ通訳者の訳を聞きながら、「お、さすが!うまい訳だ!」や「あれ、これってXXXのことかな?」など、気が付いたことをメモ取りしながら聞いていました。ちなみにブースにいる通訳者の方とはお会いしていません。お顔を拝見することもなく、お声だけを聞かせていただきました。

今回は、そのメモの中からRAG reporting(「ラグ・レポーティング」と発音)を取り上げます。これは、プロジェクトの評価をする際に信号の色を用いて進捗状況を視覚的に示す方法のことです。

ところで、信号機で表示される3つの色は何でしょうか? 

日本語では「赤・黄・青」ですよね。

では、それを英語で言うとどうでしょう? 

もし、思いついた3つの言葉がred, yellow, blueだとすれば、どうぞ続きをお読みください! 

ヒントは、RAG reportingという言葉に隠されています。というのも3つの色、Red(赤), Amber(黄), Green(青)の頭文字を取ってRAG reportingと言われるからです。それぞれの色の意味の詳細はこちらのサイトをご覧ください。

一般的には「黄信号」にyellowも使われ、特にアメリカではRAGではなくRYG reportingとも呼ばれるそうです。

けれども「青信号」は常にgreenであり、blueは使われません。「青りんご」がgreen appleでありblue appleと言わないのと同じ原理だと思います。

先週出席した会議での同時通訳者は、amberを「アンバー」とカナカナ発音し、greenは「緑」と訳していました。文脈上、恐らく混乱するほどのことではありませんが、やはり信号機の色を使ったプロジェクト評価の文脈では、日本語で使われる信号機の色を使って訳したほうが分かりやすいと思います。

と、自分の訳の拙さを棚に上げて、恐縮ながら他の方の訳をネタにさせていただきました。かなりの罪悪感を感じながら執筆しましたが、お役に立てば幸いです。

2017年10月2日

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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