第98回 Figures of speech その1
皆さん、こんにちは。珍しく30度前後という夏日が続いているイギリスからお届けしています。日本と違って夏日は1年で数えるほどなので、家には扇風機すらありません。冷たい飲み物でおなかをちゃぷちゃぷ言わせながら、執筆しております。
さて、本コラムのトピックですが、最近のイギリスからはあまりいいニュースがないので、時事問題をやめてしばらくFigures of Speechを取り上げたいと思います。
まずFigures of Speechの意味ですが、一般的には「修辞的表現法」「言葉のあや」「比喩的表現」などと訳されますが、通訳・翻訳者の立場から説明すると「文字通り以外の意味を持つ表現すべて」と言えるでしょう。その中には、「慣用句」「イディオム」「ことわざ」「格言」「比喩(直喩・隠喩)」などが含まれます。通訳者としては、このような表現が出たときに話者の意図することをさっと理解してうまく訳出しできるかどうかで実力が発揮されます。ドヤ顔にならずに(!)さらっと訳せればいいけど、うまく訳せないときはメモに残し次に出たときはちゃんと訳せるように調べておくといいですね。また、いつ、何が出てくるか分からないので、ふだんから少しずつストックをためておくといいでしょう。
ということで、今回取り上げる表現は
You get what you paid for.
どんな場面で使われるでしょう? また、どう訳すとよいでしょう?
「払った金額のモノが手に入る」、つまり「安いものには高いクオリティを期待するな」→「安物買いの銭失い」「安かろう悪かろう」で覚えている人も多いかと思います。ただし、これだけでは落とし穴があります。You get what you paid for.は安物の話だけではなく、高い物を買うときにも使われるからです。「これは高かったから高品質なんだ」という意味で使われることもあるので、対象となっている物が高いか安いのかを判断すると適訳が見つかるかと思います。
ちなみに Penny wise and pound foolish もよく「安物買いの銭失い」と訳されますが、こちらは、「細かい所だけ見て大局的な視点に欠けている」というような意味でも使われます。
例:Education budget cuts are penny wise and pound foolish – public education is an investment in our future.(教育費の予算カットというのは近視的な対策だ。学校教育というのは将来への投資だから)
皆さんは、通訳の現場でFigures of speechが出て困った体験はありませんか。もしよかったら体験談をhi-career@ten-nine.co.jpまでお寄せください。(そういえば、第96回で取り上げたPPKもその一つですね。)
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