第72回 高齢化社会に関連した用語
皆さん、こんにちは。早くも師走に入りましたが、いかがお過ごしでしょうか。私は一週間の出張を終え、今ウィーン空港でフライトを待ちながら執筆しています。
前回取り上げようと思っていた、Oxford Dictionaries発表2016年のWord of the Yearに選ばれたpost-truthについては、イギリスで翻訳家として活躍中の杉本優さんがブログで既に取り上げています。大変興味深い内容ですので、ぜひご覧ください。
さて今回取り上げる表現ですが、もういいかげんトランプ氏の話題はやめたいので杉本優さんの別ページと合わせてTrumpflationのリンク紹介のみとさせていただきます。
そこで、新しいトピックとして「高齢化社会」を考えてみたいと思います。
1.少子高齢化
日本語では「少子化」と「高齢化」が同時に進行しているので「少子高齢化」という表現がよく使われますが、意外に定訳がなく、文脈によって様々な表現が出てきます。子供の数が “減少”、高齢者が “増加”ということで、第40回、第41回で説明した用語も使えるでしょう。
・「少子化」については「出生率(しゅっしょうりつ)の低下」と捉え、falling/declining/low birth rate, a fall/decline in the birth rateとするか、「全体的な数が低下」と捉え、a fall in the number of children, the diminishing number of children, 単にfewer childrenなどと言えます。出生率はfertility rateとも。
・「高齢化」は、aging, aging population, an aging society, population aging, the aging of the populationなど微妙に異なる表現が色々ありますが、demographic agingとも言われます(ageingというスペルも使われる)。
2.シルバー
高齢者層を指して「シルバー」と日本語で表現することがありますが(例:シルバーシート、シルバー産業)、英語のsilverにはこの意味はないので要注意! シルバーシートに適する英語はpriority seats/seating。高齢者に限らず障がい者や妊婦のための「優先座席」の意。
では、英語で「高齢者」を意味する色は何でしょう?
答えはgray(米)/grey(英)。「白髪」がwhite hairではなくてgrey hairと言われることに由来するのでしょう。turn greyは「白髪になる」、grey powerは「高齢者の影響力」を意味します。greyが使われるのは「白髪」って一本一本は白いけど、全体的には灰色に見えるから「白髪交じり」をgrey hairと呼ぶのでしょうが、私個人的にはちょっと違和感があります。
3.サンドイッチ世代
これはアメリカ発祥の表現が日本語でも使われているので、英語ではそのままsandwich generation。高齢の親と同居し、同時に子育てもしている中年夫婦を指します。「同居」していなくても自分の親と子を経済的にサポートしている場合も含まれるようです。
以上、「高齢化社会」に関連した用語を紹介しました。お役に立てば幸いです。
ではクリスマス気分を盛り上げるために、ウィーン市庁舎前広場のクリスマスマーケットの写真を掲載します。スケートリンクもあり、観光客や地元の人々で大賑わいでした。
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