第58回 交渉に関する表現 その4
皆さん、こんにちは。お盆休みは何か思い出になるようなことが体験できましたか? イギリスでは8月中旬はAレベル、続いてGCSEの成績発表の時期です。これで希望の大学や高校に進めるかどうかが決まるので、受験生を持つ家族がどきどきハラハラしながら発表の日を迎えます。
では、引き続き交渉に関する表現を紹介します。
1.stalemate: こう着状態、行き詰まり
もともとは、王を動かす以外に指し手がないけれども動かすと王手になる状態(引き分けになる)を指すチェス用語ですが、交渉の場では話し合いが全然前に進まない状況を意味します。前回同義語を紹介しましたね。何でしたか?
「行き詰る、こう着状態に陥る」はreach a stalemate、「こう着状態を打開する」だとbreak a stalemateと言えます。Negotiations stalemated(交渉は行き詰まってしまった)のように動詞として使うこともできます。deadlock以外にimpasseも同義語として使われます。
2.small talk: 世間話
交渉の場に限らず、多くの会議で本題に入る前に軽い世間話をします。たいていは、天気についてとか、フライトを含め会場まで問題なくたどり着けたか、滞在期間はどれくらいなのか、など。時事問題が話題になることもあり、今の時期ならオリンピックが欠かせませんね。このようなフレンドリーな会話をsmall talkと言います。
例:We sat around the table for five minutes making small talk, and then began the meeting.
(席について5分ほどは世間話をし、その後会議を始めた)
3.reservation price: 留保価格
自分が譲歩できる最低ライン(bottom line)のこと。交渉を始める前に設定しておくことが望まれます。互いのreservation priceの重なる部分がZOPA(第56回参照)となります。
例:If you are negotiating the price of something you want to buy, your reservation point is the highest price that you are prepared to pay.
(買い手の場合、留保価格とはその商品を買ってもよいと考える上限値)
以上、「こう着状態」「世間話」「留保価格」にあたる英語表現を紹介しました。
Aレベルの成績発表日(18日)は、グリーン家も、ドキドキ・ハラハラ不安な気持ちで迎えました。幸い第一志望大学に合格。ここ数年、一夜漬けタイプで楽天家の愚息にあまりイライラしないようずいぶん親としての度量が試されましたが、合格してやれやれです。次男のGCSE成績発表は来週。
通訳者としての生活は、受験勉強がずーっと続くような側面があります。常に語彙や知識を増やし、スキルアップしていく必要がありますが、その方法は一夜漬け型でもコツコツ型でも、集中と繰り返しではないかと思います。ただ、しかめっ面で勉強するのではなく、学びに喜びを感じられるといいですね! (とはいえ、ドラえもんの暗記パンはやっぱり欲しい!)
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