第57回 交渉に関する表現 その3
皆さん、こんにちは。今回は英マンチェスターからお届けしています。イギリスも首都への一極集中が顕著ですが、マンチェスターの街を歩くと産業革命後の繁栄・19世紀の栄光があちこちで感じられます。お天気にも恵まれ、通訳を担当した会議も順調に終わり、やれやれ。
では今回も引き続き交渉に関する表現を紹介します。
1.deadlock: こう着状態、行き詰まり
どちらも譲らなくて話が前に進まない状況をdeadlockと言います。
We managed to devise a proposal that they can agree on to avoid deadlock.
(合意してもらえるような提案を考えてこう着状態を切り抜けた)
また動詞用法もあるので「Xが~の問題で行き詰っている」だと
X are deadlocked on the issue of …
2.back out: 後に引く、取り消す、手を引く、取りやめる
いったん約束したことや合意したことを取りやめることをback outと言います。
第55回で同義語が出ましたね。何でしたか?
It is too late to back out now.
(今さら後へは引けませんよ)
3. BATNA: バトナ
交渉が成立しないときに取りうる最善の選択肢のことでBest Alternative To a Negotiated Agreementの略。「不調時対策案」とも訳されます。BATNAを明確にしてから交渉に臨むことが交渉学で重要視されます。これば前回取り上げたZOPAで設定した最低ラインをさらに下回っている代替案。万が一、交渉が成立しなくてもBATNAがあると気持ちの余裕も生まれ、交渉に役立つとのこと。
If the agreement that has been negotiated is better than your BATNA, you should accept it.(交渉中の契約条件がBATNAよりよければ合意するべきです)
4 bluff: はったり、はったりをかける
交渉の一環として、いい加減なことを大げさに口にしたり、そのつもりのないことを言ったりすることがあります。それをbluffと言いますが、名詞でも動詞でも使われます。
He says he will not make a higher offer – but is he serious or is he bluffing?
(これ以上の価格は提示しないと言っているけども、本気かな、それともはったりかな?)
5.close a deal: 取引をまとめる
交渉の最後に(取引を)まとめる、(商談を)成立させる、というときに動詞はcloseを使います。
They had been negotiating for some time and wanted to close the deal before December 31st.
(かなり長い間交渉してきたので、年末までに取引をまとめたがっていた)
以上、交渉に関して使われる用語を紹介しました。bluffというと不誠実で悪いイメージですが職業によってはポーカーフェイスでbluffできることが重要なスキルとも見なされるし、Fake it until you make it(実現できるまで出来るふりをしろ)なんていう格言もあります。通訳の現場でも自信がないときにbluffingで乗り切る(この場合はbest guessとの違いが微妙)か、訳を飛ばすか、可能であればスピーカーに質問するか、常に判断に迫られます。
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