第55回 交渉に関する表現 その1 offer
皆さん、こんにちは。先週はイギリスでも連日30度を超える暑さとなりました。イギリスでは「蒸し暑い」ときhot and stickyと言います。イギリス人はToo hot/sticky to sleepと文句を言っていましたが、朝方には20度未満にまで気温が下がるので日本の夏に慣れた人には快適な暑さです。
では今回から数回に分けて、商談の場で役立つ表現を紹介します。
1. counter-offer/ counteroffer: 対案、カウンターオファー
交渉の際に、相手側に出された案に納得できないときに出す別の案。ただし、カウンターオファーを出した時点で、元の案は拒否したことになるので要注意。「オファー」という言葉は「申し出・提示」という意味で日本語でも浸透していると思いますが、英語のofferは動詞でもよく使われます。
offer ~ in return だと、「見返りに~を提供する」
2.fallback position: (希望が叶わない場合の)代案
「交渉の準備段階で代案を考えておくべきだ」
→ You should prepare a fallback position before starting any negotiation.
3.final offer: 最終提示条件
「これ以上は交渉の余地がないから、この条件で受け入れられなければやめてくれ」と強気に出るときに使う慣用表現は
→Take it or leave it.
そのようなオファーをtake-it-or-leave-it offerと言います。
4. give ground 譲歩する/ gain ground 立場が改善する
交渉の過程で譲歩することをgive ground in negotiationと言います。
gain groundだと、前より状況がよくなること。交渉で弱い立場から逆転して優勢になったときに使われます。
ちなみに、紛争地でgain groundというと進撃して陣地を得ること。
「過激派ISがシリアでの陣地を広げた」
→IS gained ground in Syria.
政治の話なら、支持率が上がること。
「スコットランドでの保守党の支持率が上昇した」
Tories gained ground in Scotland.
5.pull out of a deal: 取引から手を引く
pull outには「引き抜く、取り出す」以外に「取りやめる、撤退する」という意味もあります。pull out of a businessだと「事業から手を引く」ですが、pull out of a recessionだと「不景気から抜け出す/脱する」。
以上、お役に立てれば幸いです。商談と言えば、先週のビジネスニュースで「ポケモンGO」に続いて最も話題を呼んだのはソフトバンクの英ARM買収でしょう。3.3兆円という巨額な買収取引の交渉をたったの2週間で行ったというのも驚きです。ただし孫社長は10年間にわたり密かにARM社の買収を夢見てきたとのこと。ブレグジットで悲観的な見方が多い中、イギリス経済に期待をかける大変うれしいニュースでした。今後のARM社とSoftbankの発展に注目です。
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