INTERPRETATION

第43回 類語をまとめて覚えよう! その4 「悪化」

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。第40回より類語をまとめて紹介しています。「上がる」「下がる」「横ばい」の後は何が出るのかを心待ちにしていた方! 大変お待たせいたしました(そんな方はいませんか?!)今回のトピックは、「悪化」。つまり、これまで良かった数字・業績が悪くなる、逐次メモでは「へ」のような矢印で表せますが、場合によっては右肩上がりではあっても、その角度が前より下がる方が適切かもしれません。

これまでに挙げた言葉と重複するものもありますが、コストのように数値によっては「下がる・減少」は朗報であるのに対し、今回の用語は否定的な意味合いで使われるという違いがあります。

では、そんな憂鬱になるような数値を説明する日本語の表現は何があるでしょうか?

・減速

・鈍化

・後退

・落ち込む

・弱まる

・減退

・失速

などが考えられます。

英語ではいかがでしょうか?

・slowdown: 売上・消費支出・経済成長・景気など、これまで良かった数値が悪くなる→「減速」「失速」の意の名詞。動詞は単にslow、またはスペースを入れてslow down。最近はslowdown in China(中国での景気の減速)が話題になることが多いですね。

・weaken: 「弱める・弱まる」という意味ですが、価格の下落や景気後退の文脈でも使われます。4月27日のニュースでは、UK GDP growth slows in first quarter as construction, services weakenという見出しを見かけました。「建設業、サービス業の弱体化により、イギリスの第1四半期の経済成長が鈍化した」ということですが、この記事にはfall, drop, expand, growth, referendum, Brexit, downwardなど、これまでに取り上げた用語が出ています。

他にも「状況の悪化」という意味でworsenやdeteriorateなどがありますが、先週のビジネスニュースで、これまでのおさらいができるような対照的な報道があったので、そちらを紹介します。

まずはフェースブック。同社は「第1四半期の利益が前年比3倍増」、ということで絶好調です。この記事では、triple, jump, rise, grow, up, increaseなど、上向きの言葉が続きます。

それに対し、2003年以来ずっと業績拡大を続けてきたアップルですが、今年に入り売上が13年ぶりに減少したというニュース。この記事では、fall, drop, slip, down, headwinds, decline, slowest ever increase, struggleなどマイナスの言葉が並んでいます。ぜひ本文を読んで文脈を掴んでみてください。

フェースブックとアップル。どちらも日常生活の一部になっている私としては両社共に末永く頑張ってほしいなと思います!

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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