第25回 今年の主な経済ニュースは?
皆さん、こんにちは。今年の最終回となりました。この半年間、ご愛読ありがとうございます。
今回は1年のまとめ、ということで英フィナンシャルタイムズ紙がEnd of Year Reviewで取り上げた7つのニュースを紹介します。
1. European Migration Crisis(欧州移民・難民危機)
2. VW Emissions Scandal(フォルクスワーゲン排ガス不正問題)
3. Inside Isis Inc. How oil fuels the terrorists(ISISの財源、石油ビジネス)
4. China Tremors(中国経済崩壊が世界に与える影響)
5. US Rates Rise(米国の利上げ)
6. Oil(原油価格の暴落)
7. Greece Debt Crisis(ギリシャ債務危機)
本コラムで取り上げたトピックもいくつか入っていますね。
これまで1の移民問題や3のISIS関連は何度か取り上げようかと思いつつ、躊躇してきました。でもグローバル経済を考える上で避けられないトピックなので今回は1に関連する用語を解説します。
ご存知の通り、中東で起きている紛争を逃れようと百万人を超える大勢の人々が今年ヨーロッパに押し寄せました。このトピックではrefugeeとasylum seeker、economic migrantの違いを理解する必要があります。メディアでも混乱して使われる場合もありますが、法的にはrefugeeとは、すでに受け入れ国で難民申請が認められた人で、asylum seekerは難民申請の手続きを行い、結果を待っている人です。Refugeeとしての認定は、母国で戦争や迫害を逃れている人たちが他国で暮らせるようにするために与えられます。
それに対し、economic migrant(経済移民)は職を求め新たな生活を築こうとして国境を超える人のことで、やむを得ず母国を離れる人とは区別して考えられます。そういうわけで、「経済移民なのに難民申請をしている人」に対して、「それは違法行為だ」などという非難の声があがっているのです。
また高スキルを持った外国人はexpatriate(口語ではexpat)と呼ばれ、受け入れ国の経済発展に貢献するため歓迎されます。日本人の海外駐在員はexpatになります。「移民コミュニティ」という意味でDiasporaというギリシャ語が使われることもあります。
もう一つ重要な用語は、Schengen Agreement(シェンゲン協定)です。これはヨーロッパにおいて出国・入国検査なしで自由に国境を超えることを許可する協定で、EUとは別の取り決めなので、イギリスのようにEU加盟国でもシェンゲン圏に入っていない国もあれば、ノルウェーのようにシェンゲン協定には加盟しているけれどもEUには加盟していない国もあります。ただほとんどのヨーロッパ諸国はシェンゲン協定に合意しているので、いったんギリシャやイタリア、ハンガリーなどのシェンゲン圏で難民申請をすると、自由にドイツやスウェーデンなど移民受け入れに寛容な国へ移動することができることが大きな問題となっています。
紙面の都合上、解説は1のみとしますが、本コラムでは、皆さまのご意見・ご要望にもお応えできたらと思っています。これまで取り上げた内容の続編も含め、リクエスト・ご感想をhi-career@ten-nine.co.jpにてお待ちしています。
では、皆さま、素敵な新年をお迎えください。
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