第24回 「米国の利上げ」がもたらす意味は?
皆さん、こんにちは。12月も後半に入り、いよいよ年末ですが、いかがお過ごしでしょうか。
先週も色んなニュースが流れましたが、金融業界でのトップニュースはやはり米国でついに「利上げ」が正式発表されたことではないでしょうか。でも、どうしてそれがそんなに大きなニュースになるのでしょう? 今回は米国の利上げがもたらす意味や関連用語を解説します。
まずは関連用語から。
1. Monetary policy(金融政策):金利(interest rate)を上げたり下げたりすることや、世の中に出回るお金の量(通貨供給量、money supply)を調節して、インフレ(inflation)を抑え、物価・経済を安定させること。この役目を担うのが中央銀行(central bank)。日本の場合は日本銀行(Bank of Japan / BOJ)、米国は連邦準備制度(Federal Reserve System / Fed)、イギリスはイングランド銀行(Bank of England / BOE)、ユーロ圏は欧州中央銀行(European Central Bank / ECB)です。
2. Easy monetary policy(金融緩和政策)、Monetary easing(金融緩和):不景気の際に金利を下げ、通貨供給量を増やし、経済活動(投資や消費)を刺激すること。ゼロ金利でも不景気が続き、さらに通貨供給量を増やすために実施されたのがQuantitative Easing (量的緩和、QE)。
ご存知の通り、アベノミクス、黒田日銀総裁のもと、日本は金融緩和策で市場にお金をジャブジャブとつぎ込んでいる。米国も最近まではそうだった。
3. Tight monetary policy(金融引き締め政策)、Monetary tightening(金融引き締め):好景気の際に金利を上げ、通貨供給量を減らし、経済活動を抑制すること。最近は日本や欧米でゼロ金利が当たり前のように受け止められているが、好景気の時は6%以上にまで引き上げられた。
4. Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会、FOMC):米国の金融政策の最高意思決定機関。日銀の金融政策決定会合(Monetary Policy Meeting)に相当。
5. Federal Funds(Fed Funds/FF)rate:米国の主要政策金利、フェデラル・ファンド(FF)レート。今回引き上げられた金利の正式名称。
今回ほんの0.25%利上げしただけですが、世界中で大きなニュースになっている理由は、金融危機以来初めて、ほぼ10年ぶりの利上げだからです。これまで米国は、日本、ユーロ圏などの先進国と同じく、上記2の金融緩和政策を実施して景気を活性化させようとしてきたのに、米国だけが「失業率は5%まで下がったし、経済成長率は2%台と好調」だからと上記3の金融引き締めに入った、ということで先進各国との状況の違いも浮き彫りになっています。ただし、本当にそこまで米国の景気が堅調なのかは疑問の声もあり、これまで資金が流れていた新興国への影響(資金難となり景気減退が加速)や、ドル高が懸念されています。また景気が回復している英国では、米国に続いて利上げが行われるのではないかと予測する声も高まっています。
というわけで、世界一の経済大国が0.25%利上げをすることで米国経済や世界経済にどんな影響があるのか、また今後どのようなペースで利上げが実施されていくのかに注目しましょう。
本コラムでは、皆さまのご意見・ご要望にもお応えできたらと思っています。これまで取り上げた内容の続編も含め、リクエスト・ご感想をお寄せください。hi-career@ten-nine.co.jpにてお待ちしています。
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