INTERPRETATION

第14回 W杯スペシャル!

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

みなさん、こんにちは。ラグビーワールドカップ(RWC)で日本代表チームが歴史的な2勝目を挙げたミルトンキーンズからお届けしています。試合会場では、日本人サポーターだけでなく、多くのイギリス人が日本のラグビーシャツやハチマキをして日本代表チームに声援を送っていました。体の大きさが重要視されるチーム・レスリングのようなスポーツで小柄な日本選手が大柄なサモア選手に高い技術を持って勇敢に戦う姿は感動的でした。

そこで今回は、W杯スペシャルとして、関連用語を紹介します。2019年の日本大会や2020年の東京五輪に向けての通訳業務に限らず、国際的なスポーツ大会はスポーツ関係以外の会議でも、参加者同士のおしゃべりで話題に上がることが多くあります。その部分を訳す必要が出てくるかもしれませんので、お役に立てば幸いです。

1. 「どこが優勝するかなあ?」

「優勝」という英語は色んな表現がありますが、もっとも頻繁に使われるのは、とても易しい言葉、win です。そこで単純に下記のように訳せます。

Who will win?

Which team will win?

また「何の大会か」もはっきりさせるなら

Who will win the 2015 Rugby World Cup?

他にはwin the title, become a championなども「優勝する」という意味です。

2. 「決勝トーナメントに進出する」

RWCにおいては「決勝トーナメント進出」と「ベスト8」「準々決勝」は同義語です。4つのグループ(Pool)の上位2チームが決勝トーナメントに進出するからです。この文脈で使われている英語の表現は以下の通り。

• make the last eight

• make the quarterfinals

• make it to the knockout stage

• make it out of the pool stages

逆に「一次リーグ敗退する」はbe knocked out of the pool stages。残念ながら10月4日付のRWC関連ニュースはイングランドを主語にcrashed out (of the Rugby World Cup) / was eliminated / are outなどと続いています。「敗退」は単にexitとも。

これまでBrexitというBritainとExitを合わせた造語は「イギリスの欧州連合(EU)脱退」を意味していました。ところが10月4日付の新聞の見出しでは「イングランドのRWCからの敗退」という新たな意味で皮肉っぽく使われています。

3. 「開催国」「開催都市」「試合開催会場」

W杯は国レベルで主催するのでhost countryは今回はイングランドですが、それぞれの試合が開催される都市はhost city。また試合が行われるスタジアムはvenueと呼ばれます。ただvenueはスタジアム以外のイベントの開催地を指すこともあるので文脈に要注意です。stadiumの発音は「スティディアム」に近く「スタジアム」とはかなり違います。ちなみに「スタジオ」と「スタジアム」は日本語では最初の3音が同じですがstudioは「ステューディオゥ」と発音しstadiumとはまったく異なるので発音にも要注意です。

以上ラグビーワールドカップ・スペシャルでした!

実は、息子が二人ともラグビー選手なので今回のイングランド大会も次の日本大会もずっと前から楽しみにしていました。残念ながらイングランドは早くも一次リーグ敗退が決まり、開催国としては初の早期敗退という屈辱的な結果に落胆しています。けれども、こうなった今、スコットランドでもウェールズでもなく日本を応援するというイングランド人が多く現れ、BBCのスポーツ・リポーターでさえテレビで公言していました。

エディ・ジョーンズ監督率いる日本。8強入りの夢が実現できるといいですね!

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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