第9回 The Great Fall of Chinaはどう訳す?
みなさん、こんにちは。8月もいよいよ終わり。日本の学校では2学期の始まりですが、イギリスでは新しい学年度の始まりです。私の息子は二人とも進級するだけですが、この秋から新たに小学校や中学校、高校・大学・大学院に入学する人がいる家庭ではドキドキ・ハラハラしながら入学準備をしていることでしょう。いずれにしても、それぞれ新しい季節を迎えるにあたり、気持ちも新たに充実した日々を送られるよう願っています。
さて先週は中国株式市場の大暴落を受け、世界の株式市場が大きく揺れ動き、外国為替市場にも影響が及びました。この中国株式市場の急落をイギリスのDaily Mail紙やThe Economist誌などのメディアは「The Great Fall of China」と呼んでいます。この表現、みなさんならどう訳しますか? お気づきかと思いますが、これはThe Great Wall of China(万里の長城)をもじった表現で、WをFに変えるだけでこんなに意味が変わるなんて英語の表現としてはうまいなと思います。最初に思いついた人はかなり得意気に感じたのではないかと察しますが、言葉遊びを和訳に反映させるのは至難の業です(第三回aGreekment参照)。こういう表現は、通訳なのか(その場合、同時か逐次か、聞き手は誰か)翻訳なのか(その場合、見出しか、文章の中で訳すのか、媒体は何か、読者は誰か)などによって、意味だけを伝えるのか、程度の度合いも含めて説明も加えるのかなどの判断が訳者にゆだねられます。場面を想定して、自分だったらどう対処するかぜひ考えてみてください。
では今回も会議で使える表現を3つ紹介します。
1.「その件は後で個別に対応します」
以前、答えにくいを質問されたときに使える便利な表現を紹介しましたが(第7回参照)、会議で他の参加者の前では答えにくかったり、他の人にはあまり関係ない質問をされることもあるでしょう。そんなときに「後で個別に話しましょう」という意味で使える表現。
→Let’s take it offline.
2.「おっしゃることがよく分かりません」
ダイレクトにI don’t understand what you saidとも言えますが、「~が理解できない」という意味の慣用表現cannot get one’s head around (ふつう否定形)を使うとソフトに聞こえます。
→I couldn’t get my head around what you said.
3.誰かの発言に続いて「一部のみ同意します」
部分的には納得できても他の部分に関して反論したいときなどに使える表現。
→I agree up to a point.
以上の3つの表現、お役に立てば幸いです。
今年も3分の2が過ぎ、あと4ヶ月を残すのみとなりました。今年の目標を振り返るのに良い時期かもしれません。目標達成のために、あきらめず、今日できることを少しでも実行に移せるといいですね。
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