第8回 「トイレ休憩」を英訳すると?
みなさん、こんにちは。夏も終わりが近づいてきましたが、何か夏の思い出ができましたか? 私は、一時帰国中に北アルプスの乗鞍岳に家族で登山したのが良い思い出になりそうです。初心者コースとはいえ、後半はかなり急な斜面で息を切らしながらもがんばって頂上を目指し、なんとか標高3026mの頂上に立てたときは感激でした。通訳・翻訳というと「知的な」「体より頭を使う」職業と思われがちですが、量と質をこなすためにはどちらもかなりの体力が必要で、ふだんからなるべく運動をしています。それでも坂道を登り続けるのはやっぱり大変で何度かあきらめそうになりました。登山と会議通訳、まったく異なるようですが、何かを成し遂げた後の充実感は、どちらにも通じるものがあると思いました!
では、今回は会議で使えると便利な表現を3つ取り上げます。
1.「トイレ休憩にします」
半日の会議でも一度は欲しい「トイレ休憩」。通訳者としては用足しだけではなく、口と脳を少し休める大切な時間でもあります。これを英訳するといかがでしょうか? もちろんそのままa toilet breakということもできますが、やや遠まわしな表現でa comfort breakとも言えます。動詞はhaveを用い、We will have a comfort break.
2.「~を掘り下げる」
「原因」や「課題」、「内容」など、深く突っ込んで考えることを「掘り下げる」といいますが、英訳するといかがでしょうか? これを直訳でdig deep (into…) と言っても通じますがdrill down onという慣用表現も使えるとよいでしょう。「その問題の原因を掘り下げる」だと、drill down on the cause of that problem.
3.「対面会議」
前回「テレビ会議」をはじめ遠隔会議について取り上げましたが、テクノロジーの発達により実際に会わなくても会議をすることができるようになりました。それでも、対面会議には時間と労力・経費をかけるだけのメリットも多く、きっとなくなることはないでしょう。「対面会議」はface-to-face meetingといいますが、「実際に会う時間」というニュアンスではface time(注:2語、スペースあり)も使えます。これはアップル社のビデオ通話アプリFaceTime(注:1語、スペースなし、FとTは大文字)とは別の慣用表現。ですから「Face time still beats FaceTime」だと、どう訳しますか? ちょっと意訳すると「(アップル社のFaceTimeに限らず)テレビ電話よりもやはり実際に会って話すほうがいいですね」
今回は、a comfort break、drill down on、face timeという3つの表現を紹介しました。お役に立てれば幸いです。
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