第158回 chill economyって何?
皆さん、こんにちは。今週は12月11日に予定されていた英国議会でのEU離脱協定案の議会採決を受けBrexit updateをするつもりでしたが(第153回参照)、議会採決が延期され、混迷状態が続いているため別のトピック “chill economy”を取り上げます。
chill economyと聞くとどんな経済が思い浮かびますか? その前に、chillっていうとどんな訳語が思い浮かびますか?
chillには、動詞、名詞、形容詞用法がありますが、もっともよく使われる用法は動詞の「(飲食物など)を冷やす」(ロングマン英和辞典参照)。これが経済にも使われて to chill economyと動詞で使われているなら「景気を冷やす」となります。
けれども今日は2018年12月16日付FT誌「Netflix and chill economy」で使われている用法を紹介します。この記事によると、2017年にロンドンの経済成長をけん引したのは製薬でも金融でもなく、テレビ番組制作や宅配業だったとのこと。Netflix and chill economyは “consumers stay home, watch the telly and order in takeaway(消費者が自宅でテレビを見ながら出前を注文)”と説明されています。
つまりここでのchillは「のんびりと過ごす/まったりする」の意。この意味ではchill outという句動詞も使われますが、最近の若者は単にchillとよく言います。愚息に「友達んちで何してたの?」と聞くとたいていは「chill」の一言で返されます(苦笑)。この一言に含まれているのは「NetflixやYoutubeの動画を見ながら、何かを食べたり飲んだり、(くだらないことについて)おしゃべりしたり…」のようです。
ではchill economyの訳ですが、英語でも使われ始めたばかりで日本語の定訳はなさそうです。けれども「チルする/チルってる」など日本語でも「のんびり/まったり/ゴロゴロする」の意で一部の若者の間、SNSなどで使われているとか。ということは、chill economyも「チル経済」として知られる日が来るかもしれません。具体的には、動画・テレビのコンテンツ制作・配信、飲食物の宅配業に関連した経済。
早くも12月も後半。西洋ではクリスマス休暇(Christmas holiday)、日本では年末年始のお正月休みが近づいていますが、皆さんはどんな風に過ごされますか? 「あちこち出かけずに自宅でのんびり」という場合、I’m just going to chillと言えます。私は冬休みで帰宅する息子たちとchillするのを楽しみにしています。
2018年12月17日
(英国ケンブリッジ駅 冬休みでまずは長男が帰省)
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