第152回 アジア欧州会合(ASEM)とは?
皆さん、こんにちは。秋晴れが気持ちいい季節ですね。読書の秋、学びの秋、味覚の秋…どんな秋をお楽しみになっていますか?
私は先週、ロンドン、バルセロナ、ブリュッセルと3つの都市で通訳をしました。どの会議もそれぞれ大変興味深いものですが、特に3つ目のブリュッセルでの会議は特別だったので紹介します。
皆さんはASEMってお聞きになったことがありますか? G7やG20に比べると極めて知名度が低いように思いますが、参加国の数ではG20よりもずっと多く、アジア・ヨーロッパから合計51か国+EUとASEANの2機関で構成されていて2年に一度、首脳会合や閣僚級会合が開かれます。
その2年に一度の首脳会合が先週、10月18日および19日にブリュッセルで開催されました。アジアからは日本の安倍首相、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領ら21か国の首脳(または外務大臣)とASEANのリム・ジョクホイ事務総長、ロシアからはメドベージェフ首相が参加。ヨーロッパからは、イギリスのメイ首相、ドイツのメルケル首相、フランス・マクロン大統領など30か国の首脳が一堂に会して、今後の協力強化について話し合いが行われました。
ここでの使用言語はなんと31言語。ほとんどの首脳が母国語で発言し、それぞれの言語に同時通訳されます。昨年完成したばかりの欧州理事会のビル、Europa Building(別名Tusk TowerまたはSpace Egg)内にある一番大きな会議室には38もの常設ブースがあります。ですから、31組の通訳者(それぞれ3名体制)に一つずつブースが与えられます。
ふつうは大きな会議だとブースの数が足りないことも多く、会場から離れたところにあるブースからスクリーンに映される画像を見ながら同通することもあります。けれども、この会場では会議室をぐるっと囲むように、しかも2層にブースが設置が設置されているので、通訳者全員が会場を見渡すことができます。
この会合でのまとめはこちらです(EU Council Twitter)。
どんな国際会議でもよく話題になるのは、気候変動、SDGs(2030アジェンダ)、女性のエンパワーメント、海洋汚染、朝鮮半島の非核化、人工知能(AI)&デジタル化社会、テロ対策など。ふだんから時事問題をよく理解し、関連用語を自分が通訳する言語で覚えておくことが大切です。
また大きな自然災害が起きると、それも話題になることが多いです。
日本では来年G20が開催されます。サミット以外にも閣僚級会合、サイドイベントなど関連した国際会議が多く開かれることでしょう。このような会議での通訳を目指している方はぜひASEMについても学んでおくときっと役に立つことでしょう。
これまで首脳クラス(元首脳も含む)が数人集まる会合では何度か通訳したことがありますが、これほど多くの政界のトップが集まる会合は初めての経験で、感動的な二日間でした!
2018年10月22日
(第12回ASEM首脳会合の会場)
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