第150回 Mrs May is so incredibly resilient!
皆さん、こんにちは。本コラムが第150回を迎えました。いつもお読みくださってありがとうございます! 引き続き、広義での「ビジネス翻訳・通訳に役立つ表現や内容」を取り上げていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
では今週はイギリス政治についてお伝えします。毎年9月下旬、10月上旬には二大政党の労働党(野党第一党)と保守党(与党)がそれぞれ党大会(party conference)を開催します。数日間にわたり開催されますが、目玉はやはり最終日の党首演説。年に一度、党を結束させ、国民に党の魅力をアピールする絶好の機会です。ところが昨年の党大会ではメイ首相はのどの調子が悪く咳がとまらなくなり、ハモンド財務相(Chancellor of the Exchequer )に演壇でのど飴をもらう始末。加えて、演説中に背景に掲げたスローガンの文字が次々と落下したり、芸人が乱入したりとハプニング続きでした(参照動画)。そんな屈辱と不運からどう立ち上がるのかイギリス国民やメディアが注目していた今年のメイ首相の演説。それが昨日10月3日に行われました。
演説を視聴して思い浮かんだ言葉はズバリresilience。「強靭さ・回復力・弾力(性)」などと訳される言葉ですが、Cambridge Dictionaryは第一語義でthe ability to be happy, successful, etc. again after something difficult or bad has happenedと定義しています。
まずはアバの「ダンシング・クィーン」に合わせて踊りながら登場(参照動画)。70年代に流行った曲なので若い方がどれくらいご存じなのか分かりませんが、なんとなく聞き覚えくらいはあるのではないでしょうか。ちょっとぎこちない踊り方ではありましたが、盛り上げようという強い意思が感じられます。
そして冒頭にて昨年の失敗をネタにして笑いを取り、視聴者に安堵感を与えました。
1時間あまりの演説では緊縮政策の終焉(end of austerity)、住宅不足対策などいくつかの重要な国内政策に関する発言がありましたが、海外の方が気にしているのはやはりBrexit(英国EU離脱)についてかと思います。
この件に関しては
・2度目の国民投票を否定(denounced the option of a second Brexit referendum)
・チェッカーズ案(7月にまとめた英政府のEU離脱案)は(現在のところEUに拒否されているが)妥協しない。受け入れられなければNo deal(合意なし)で離脱する。
と強気の構えを示しました。
党首交代の声が聞かれる中で行われたメイ首相の保守党大会での党首演説。多少の反対勢力や屈辱には屈しないresilienceで、党首交代は当分ない印象を与えることに成功したようです。
人生山あり谷あり。決していいことばかり続くわけではありませんが、苦境のあとも立ち上がる強靭さがあればまたその先に明るい未来が期待できます。
I passionately believe that our best days lie ahead of us and that our future is full of promise.
という将来への希望と期待を込めたメイ首相の言葉、私も信じています。
2018年10月4日
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