INTERPRETATION

第146回 番外編:イギリスの大学生活

グリーン裕美

ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!

皆さん、こんにちは。今週は三重県の実家で雨音を聞きながらお届けしています。明後日、関西空港からイギリスに帰る予定ですが、台風21号の影響で執筆時点はまだフライトが運行するかどうか分からないので少々心配しております。

さて、先週から番外編としてイギリスの大学事情について個人的な視点からお伝えしております。今回は、大学生活を取り上げます。

「息子が大学に入る」と日本の方に話すとたいてい「自宅から通うのか一人暮らしをするのか」と聞かれます。けれども、イギリスではそれは話題になりません。というのも、「大学に入れば一人暮らし」というのが前提となっているからです。

私の住む町から通える範囲にはロンドンやケンブリッジ、エセックスなどが含まれます。これらの地域で働いている社会人は毎日電車やクルマで通勤していますが、同地域の大学に行った知り合いの学生は全員少なくともいったんは一人暮らしを始めました。「一人暮らし」といっても「学生マンションに住む」という日本のイメージとはかなり異なります。通常一年目は大学で寮生活をします(注:「寮」はイギリス英語ではdormitory/dormではなくstudent hallまたは単にhallといいます)。知り合いのお子さんでは、自宅から30分以内の大学に入った場合も寮生活をしました。そして2年目からは親しい友達と一緒に借家に住みます。借家は3~6寝室くらいの大きさで、キッチンや、リビング、バスルームは共同で利用します。(注:「リビング」はsitting roomとかloungeといわれます) 通学出来る距離に実家がある場合は1、2年一人暮らしをしてから通う学生もいます。

寮も借家も家具付きなので、引っ越しは割と楽でした。寮は自炊(self-catering)と食事つき(catered)があります。次男の大学生活はこれから始まりますが、長男はこれまでのところ食事つきの寮生活を1年、借家での自炊を1年経験しました。食事つきの生活は料理をしなくていいというメリットはありますが、食事の時間が厳しく決まっているので朝寝坊(late sleeper)の長男はほとんど朝食時間内(午前7~9時)に起きられなかったようです(涙)。食事代を前払いしているので親としては苛立たしいことですが、離れて暮らしていると「朝ごはんだよー!(Breakfast time!)」と言って起こすこともできません。夕食の時間も午後5時半から7時までと早めで決められていたのが不便だったようです。けれども友達と一緒に食事をするのは楽しかったようです。ときどきFormal dinnerといって正装(black tie)着用の食事もあったそうです。ハリーポッターの映画で出てくる食事のシーンと似ています。

「入学式」のような場はなく、大学生活の始まりはFreshers’ week(fresherは「大学一年生」の意)といって各大学それぞれ様々な歓迎イベントが企画されます。新入生向けのパーティも多く開催され、freshers’ weekというと「新入生のどんちゃん騒ぎ」というイメージさえあります。その週に友達作り、クラブの入会、講座登録などが行われます。

以上、今回はイギリスの大学生活について紹介しました。次は学費など財政面についてお伝えします。

(長男の通うノッティンガム大学)

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記事を書いた人

グリーン裕美

外大英米語学科卒。日本で英語講師をした後、結婚を機に1997年渡英。
英国では、フリーランス翻訳・通訳、教育に従事。
ロンドン・メトロポリタン大学大学院通訳修士課程非常勤講師。
元バース大学大学院翻訳通訳修士課程非常勤講師。
英国翻訳通訳協会(ITI)正会員(会議通訳・ビジネス通訳・翻訳)。
2018年ITI通訳認定試験で最優秀賞を受賞。
グリンズ・アカデミー運営。二児の母。
国際会議(UN、EU、OECD、TICADなど)、法廷、ビジネス会議、放送通訳(BBC News Japanの動画ニュース)などの通訳以外に、 翻訳では、ビジネスマネジメント論を説いたロングセラー『ゴールは偶然の産物ではない』、『GMの言い分』、『市場原理主義の害毒』などの出版翻訳も手がけている。 また『ロングマン英和辞典』『コウビルト英英和辞典』『Oxford Essential Dictionary』など数々の辞書編纂・翻訳、教材制作の経験もあり。
向上心の高い人々に出会い、共に学び、互いに刺激しあうことに大きな喜びを感じる。 グローバル社会の発展とは何かを考え、それに貢献できるように努めている。
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