第145回 番外編:イギリスの大学事情
皆さん、こんにちは。今週は東京からお届けしています。8月末ですが、今日も猛暑。せっかくの空き時間ですが、外のベンチに座ることはできずクーラーがきいていて、デスクが使える場所を見つけて執筆しております。
今週東京でお会いした方々に近況報告をしたところ、私が体験しているようなイギリスでの生活の様子をもっと発信してほしいと依頼されました。そこで今回は番外編として英国の大学入学事情についてお話します。
この夏のグリーン家の重大ニュースは、次男が大学に進学することです。イギリスの「大学入試試験」に相当する試験はAレベルと呼ばれています。詳細はこちらのサイトをご覧ください(英語サイト)。同留学サイトには「イギリスの一流大学に進学するなら、Aレベルを受講しよう」とありますが、日本の高校生がAレベルで好成績を取るのはとても難しいと思います。センター試験とは異なり、通常は3科目を選択して集中的に学びます。次男の場合、理数系が得意なのでMaths(数学), Further maths(上級数学), Physics(物理)という3科目を選択しましたが、この3科目は共通項目が多く、本当に3科目と言えるのかなと疑問に思います。国語にあたる英語は高校では選択制であり、長男も次男も選択しなかったため二人とも16歳で国語(英語)の勉強を終えたことになります(この点については賛成していません)。日本の高校生が好成績を取るためには英語の勉強だけでは全然足りません。数科目しか勉強しない代わりに、それぞれかなり深いところまで求められるし、作文形式の回答もかなりあります。私の知っている範囲ですが、英語はもちろん歴史、政治、経済、生物などの試験ではかなりの作文力が求められます。丸暗記の知識ではなく、物事を考えて、それを自分の言葉で表現する力をつける必要があります。
このAレベルの試験が毎年全国一斉に5月後半から6月にかけて行われます。3科目といってもそれぞれの科目が3~4つのモジュールに分かれているので合計10くらいの試験がありました。センター試験のように2日間にまとめて行われるのではなく、1カ月半におよびバラバラと実施されます。各試験は1時間から3時間。かなりの集中力を要します。
そして合格発表が毎週8月の第3木曜に行われます。今年は8月16日でした。
話が前後しますが、願書出願は10月~1月中旬。息子の高校では10月に出願するよう強く指導していたので13年生になるとすぐに志望大学を決めないといけませんでした。高校によっては本人任せにしています。そうすると、やはり1月中旬の締め切り前に駆け込みで出願する学生も少なくないようです。
合否の結果通知は大学によってバラバラです。たいていは1月中旬の締め切りを待たずに合否通知が郵送で送られてきます。そこで条件付き合格(Conditional Offer)、無条件合格(Unconditional Offer)、不合格(Rejection) のどれかが判明します。「条件」というのはAレベルの結果を指します。大学・学部によって3科目すべてA(AAA)、Aが2つでBが1つ(AAB)のような要件(Requirement)が記載されています。
成績はA*(Aスター)~E、そしてFail(不合格)で出ますが、DやEは「不合格に近い」とみなされています。
次男の場合、第一志望校からAAA(3科目平均がA)という条件付きの合格をもらっていました。3科目平均がAということは例えば、A*ABでも合格するということです。
そしてドキドキハラハラで迎えた8月16日ですが、無事要件を満たし第一志望校に進学できることになりました(参照記事)。やれやれ。
イギリスの大学はたいてい9月後半からスタートします。大学生活、入学後についてはまた来週以降続編としてお届けします。
(先日の出張で訪れたノルウェイ・オスロ、洗練された素敵な街)
2018年8月30日
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