INTERPRETATION

通訳美人道「7. 通訳美人の台所術」

柴原早苗

通訳美人道

通訳美人道 通訳美人の台所術
第1ヵ条 買ったらすぐに下ごしらえ!
 何かと忙しい通訳翻訳者。でも健康管理も仕事のうちです。そこで今回ご紹介するのは台所術。ここで大事になるのは「先手を打つこと」です。たとえば野菜を買ってきたら冷蔵庫にしまう前に、そのまま下ごしらえをしてしまいます。ホーレンソーやブロッコリーなどは洗って切ってお鍋で茹でれば、おひたしや野菜の付け合せになります。冷蔵庫にしまってしまうとつい忘れてしまうので、面倒でも火を通しておいたほうが後々楽になります。
第2ヵ条 お湯ポットの活用
 湯沸しポットがなくてもOK。子どもの頃、お弁当に持っていったあの保温ポット、引き出しで眠っていませんか?お湯を沸かすときは少し多めに沸かして、余りをポットに入れておきます。コーヒー一杯でホッと一息つきたいとき、わざわざお湯を沸かさなくてもこのポットのお湯ですぐ入れられます。また、お味噌汁やスープを作るとき、このお湯を使うことで水から沸かすよりも時間的に早く済みます。
第3ヵ条 忙しい朝こそ時間をフル活用
 朝は確かに忙しいですが、「ついでの作業」をやっておくと便利です。たとえば夕食用のサラダ食材を洗っておくだけでも後の手間が省けます。料理に費やす時間の半分は下ごしらえにかかる時間。だからこそ、朝、まな板と包丁が出ている間に夕食用の野菜や肉などを小さく切って保存しておきましょう。野菜→肉の順にまな板を使えば何度も洗わずに済みますよ。
第4ヵ条 余計なものは置かない
 狭い台所に電子レンジ、オーブン、オーブントースター、炊飯器など、様々な家電が並んでいませんか?コンセントの数も少ない中、タコ足配線だらけ、などということも。この際、思い切って家電のダブリは避けてみるのも一案です。もしオーブンにレンジとグリル機能がついているのであれば、オーブントースターは不要になるはず。ちなみに我が家はトーストを魚焼きグリルで、ご飯をお鍋で炊いています。トーストはグリルだと片面38秒ずつで焼けますし、ご飯もお鍋なら20分でふっくら炊き上がります。慣れるとこちらのほうが早いので、忙しいときとても便利です。
第5ヵ条 ほんのひと手間で健康的
 「和食はだし取りが面倒」と思われがちですが、材料さえそろえてしまえば実に簡単。たとえば昆布は一口サイズにキッチンバサミで切り、ジャムの空き瓶に保存。煮干は頭とはらわたを取り除いて缶に保存します。朝、お鍋に水をはり、そこに昆布や煮干を入れておけば、夕方までにおいしいだしが取れます。あとは食材を入れて火を通せばお味噌汁の出来上がり。だし入り味噌を使わなくても天然で体に優しいだしが取れますよ。昆布や煮干の下準備はテレビを見ながらなど、何かのついでにまとめてやっておくと便利です。
第6ヵ条 洗い物を増やさない工夫
 台所で最も出番の多いまな板。「表は野菜用に、裏は生もの用に」と使い分けている人も多いのでは?そのたびにひっくり返したり、洗ってから使ったりするのは案外面倒です。そこで便利なのが牛乳パック。パックを平面に切り取って使えば、適度な大きさのまな板に早変わり。生ものの調理に使ってそのまま捨てることができます。
第7ヵ条 三角コーナーは置かない
 小さな流しの隅に置かれている三角コーナー。野菜の皮が水に濡れてニオイの原因にもなりかねません。私はあえて三角コーナーは置かず、スーパーの小さい袋を生ゴミ用の袋にしています。野菜の皮や脂身、コーヒーのかすなどは袋に直接入れず、広告の紙やコピー用紙の裏紙に包んでから捨てるとニオイも出ずに済みます。
第8ヵ条 見直したいガラス製品
 景品でもらった保存容器。案外捨てられず、使っている方も多いでしょう。でも中身が見えなかったり、大きさが不ぞろいで今ひとつ使いづらかったりというケースもあるのでは?私は保存容器もとことん吟味して、最終的に行き着いたのがガラスの四角い蓋付き容器でした。ガラスだと中身が見えますし、四角いので冷蔵庫の中にすっきり納まります。しかもレンジ、オーブンどちらでもOK。そのまま食卓に出しても見栄えがします。
ガラスの小鉢はおひたしやおかず入れになるほか、プリンやマフィンの型にもなるので便利です。
第9ヵ条 余ったたれやヨーグルトのお砂糖は?
 納豆のたれ、ヨーグルトについてくるお砂糖、お弁当のソースなど、使わなかったけれど捨てるのがもったいないものは意外とありますよね。こうした細々した調味料はカレーや煮物のときに一気に使い切ってしまいましょう。「ピクニックのときに使えそう」「運動会のお弁当用に」と溜め込んで忘れてしまうより、なるべく早く使うほうが品質面でも安心です。我が家では余ったフレーバーティーをケーキやパン作りのときに混ぜて使い切っています。良い香りがしてオススメですよ。
第10ヵ条 体に取り入れるものこそ良質のものを
 みりん、酢、料理酒など、店頭には様々な種類が並んでいます。スーパーのチラシを見て少しでもお手ごろ価格のものを買いたいのが消費者心理ですが、せっかく毎日使う調味料だからこそ、少し贅沢してみてはいかがでしょう?高いといってもせいぜい数百円。カフェでランチをするのと同じぐらいの値段です。体に取り入れるものこそ、品質にこだわってみること。このちょっとした贅沢さが心を豊かにしてくれます。

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記事を書いた人

柴原早苗

放送通訳者。獨協大学およびアイ・エス・エス・インスティテュート講師。
上智大学卒業、ロンドン大学LSEにて修士号取得。英国BBCワールド勤務を経て現在は国際会議同時通訳およびCNNや民放各局で放送通訳業に従事。2020年米大統領選では大統領・副大統領討論会、バイデン/ハリス氏勝利宣言の同時通訳を務めた。NHK「ニュースで英語術」ウェブサイトの日本語訳・解説担当を経て、現在は法人研修や各種コラムも執筆中。

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