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「やろうと思いつつ、つい後回しにしてしまう」「時間はたっぷりあったはずなのに、時間切れになってしまった」皆さんにこんな経験はありませんか?やらなくてはいけないと頭ではわかっているものの、膨大な課題を前につい尻込みしてしまい、結局準備不足に・・・。「千里の道も一歩から」というとおり、自分が少しずつやらなければなかなか先へは進めません。要は計画さえしっかり組み立てておけば、あとは着手するのみ。そこで今回は取り掛かりやすい段取り術をご紹介しましょう。 |
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たとえば同時通訳の会議を依頼されたとします。紙に以下のように書き出してみましょう。 |
例 |
会議内容: |
企業コンプライアンスについて |
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資料: |
入手済み 全50ページ |
本日の曜日: |
日曜日 |
会議日時: |
来週の月曜日 |
準備日数: |
7日間 |
このように書き出すことで、テーマや読むべき資料の量、準備日数が把握できます。ここまでできたら次は計画作りです。 |
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資料が届いた時点で一度ざっと目を通しておきましょう。ページ抜けや見づらい箇所を点検するとともに、複数の通訳者が担当する場合、自分のパートの資料かどうかも確認します。早めに一度チェックしておくことで、何か問題があれば担当者に連絡できるからです。また、とにかく一度パラパラと資料をめくるだけでもキーワードや概念が頭に入ってきます。先の例で言えばテーマは「企業コンプライアンス」。資料の中に出てくるキーワードを元に、新聞を読むときや出先で書籍を買うときなどもアンテナを張り巡らせることができます。なお、資料にページ番号が振っていなければ、「1/50」という具合に「ページ/総ページ数」も記しておきましょう。 |
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第2カ条で「一週間で50ページの資料を読みこなし、予習をする」ということはわかりました。ただ、一言で「予習」と言っても様々な作業が必要になります。その一つ一つを列記してみましょう。 |
例 |
資料読み込み/単語リスト作成/参考文献を入手し、背景知識をとらえる/ |
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講演者の本を読む/ |
その他ネットでリサーチ など |
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次に自分の今の生活の中で、勉強に当てられる時間を割り出します。他の仕事も抱えている、家事や育児などプライベート面でも多忙となると、どこに予習時間を捻出するかがカギとなります。ちなみに私の場合、夜は子どもたちと一緒に8時に寝てしまうので、朝4時に起き出し、家族が目覚める6時までが唯一の勉強時間です。よって、先の例で言えば、 |
1日2時間 x 月・火・水・木・金 = 合計10時間 |
土・日は家族と過ごしたり休養にあてたりするため、ここには含まれていません。また、平日に突発事態があって予習できなかったときに週末を予備日として返上するため、ギリギリまで計画を立てることはあえてしていません。 |
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ここまでの作業で、やるべき課題と準備時間が見えてきました。次は計画表の作成です。 |
曜日 |
課題 ※済んだらチェック |
月曜日 |
読み込み1~25ページ |
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火曜日 |
読み込み26~50ページ |
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水曜日 |
サイトラ、単語リスト作成 |
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木曜日 |
参考文献、ネット調べ |
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金曜日 |
リサーチ、見直しなど |
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計画表にはチェックボックスを設けておきます。これは作業が終わるごとにチェックを入れることで達成感が実感できるからです。 |
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計画表ができたら、つぎは作業の細分化です。一日25ページを読まなければいけ
ないことはわかりましたので、あとは2時間の準備時間でどれだけ読みこなすかを計
算します。 |
25ページ÷2時間=1時間当たり約12ページ |
つまり、10分で2ページ読む、ということになります。 |
資料の読みこなしの際にはキッチンタイマーを10分ごとにかけて、「集中して」読みます。思ったより早く読み込みが終えられそうなら、予定を前倒しにしたり、書き換えたりするなど、効率的な作業をめざしましょう。
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たとえば病気をしてしまった、寝坊をした、突発事態が発生したなど、計画表どおりに進めなくてもあきらめずに隙間時間を活用します。通勤時間に予習をしたり、料理中に立ったまま読んだりするなど、2時間ぐらいは細切れの時間をつなぎ合わせることで何とか捻出できます。資料の読みこなしができなくても、その分、参考文献からとりかかるなど、順番を入れ替えることも可能です。大切なのは、一回挫折したからと言ってあきらめず、常に予習テーマに触れていることです。
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通訳業務の場合、目で知識を取り込んだら、次は口から訳語がスラスラ出てくる必要があります。関連分野の単語は日本語・英語ともに何度も声に出し、慣れておきましょう。また、ラジオのニュースなどをシャドウィングすることで、スムーズな表現が出てくるように準備しておくのも大切です。通訳の大ベテラン、國弘正雄先生も「只管(しかん)音読」(ひたすら読むこと)を提唱しており、先生自身、同時通訳の前は中学校の教科書をあえて音読したと著書で述べています。 |
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バイオリン教育で有名なスズキ・メソードの創設者、鈴木鎮一氏は著書の中で次のように述べています。 |
「実行する習慣を身につける - この、いうはやすく行なうは困難なことを、今日ただいまから実行することです。やれば必ず身につきます。身についたとき、かけがえのない能力となります。」 |
(「愛に生きる」講談社現代新書、1966年) |
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つまり、たとえ小さなことでも後回しにせず、すぐにやることが大切であり、早めに取り掛かることは訓練次第で身につくと記しています。
「メールをやってから」「片付けてから」「新聞を読んでから」というのではなく、今自分が何を一番やらなければいけないかを常に考え、最優先課題から取り組む。それが実行できれば自分にとっても大きな自信につながるはずです。 |
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