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皆さんは普段から本を読んでいますか?ネット時代になったとは言え、印刷された活字の果たす役割は依然として大きいものです。そこで今回は通訳業務をアサインされた際、どのように関連書籍を読めばよいかをお伝えしましょう。小説など、趣味の読書であれば最初のページから一字一句大切に読んでいきますが、予習時間の限られた通訳者にとって、本は効率よく読み進めていく必要があります。 |
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通訳者は仕事を請けると、エージェントから送られた関連資料はもちろんのこと、自分なりの予習をして本番に臨むことになります。関連資料だけで何百ページに及ぶことはざらですが、それだけでなく、独自に書籍や雑誌を買ったり、ネットで調べたりと、やるべきことは山とあります。そうした活字を読みこなす場合、最初からじっくり読もうと思ったらいくら時間があっても足りません。大切なのは自分が会議で使う内容は何かを見極め、集中して読むことです。 |
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シンポジウムや大規模な会議であれば、エージェントから仕事をアサインされる際、スピーカー名や講演内容が知らされます。講演者がわかっているのであれば、アマゾンなどのネット書店で検索してみましょう。もし著作があれば迷わず購入してください。購入時のポイントは「新しい著作から買い求める」こと。同じ著者で複数の文献があった場合、新しい論文がそれまでの学説を元に導き出されている可能性があるからです。巻末の参考文献なども最新のものですので、できる限り最新作を入手しましょう。 |
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講演者の文献がなければ、会議のキーワードを元に文献を探します。たとえば「企業コンプライアンス」という内容の会議であれば、この単語をアマゾンで入力してみるのです。たくさんヒットした場合、先ほど述べたように新しい書籍から参考にしていきます。なお、新書と専門書がヒットしたのであれば、まずは新書からあたることをおすすめします。新書は専門家以外でもわかるよう比較的容易に書かれており、値段も手ごろだからです。難しい学術書を紐解いて途中で挫折するよりも、初心者ならば短時間で読める新書が取り組みやすいと思います。 |
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「新書でもまだ難しい」という場合、思い切って児童書にあたってみます。最近は子ども向け百科事典や参考書が充実しており、非常にわかりやすく書かれています。たとえば宇宙関連の通訳を依頼された場合、宇宙についてまったくの初心者であるならば、図柄の豊富な子ども百科事典から読んでみてはいかがでしょう。子ども向けなので活字も大きく、あっという間に読みきることができます。そこで基礎知識をしっかり蓄えてから新書、学術書へと難易度を高めていけば、スムーズに理解できると思います。 |
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絶版本であれば図書館などで借りることになりますが、そうでなければ本はぜひお金を払って購入しましょう。自分で購入すれば、「せっかく買ったのだからきちんと読もう」という気持ちになれます。なお、入手後は「まえがき、あとがき、目次」にざっと目を通します。まえがきを読むことでその本の内容をざっとつかむことができ、あとがきを通じて著者が何を言いたかったかが把握できるからです。こうして鳥瞰図的に概要をつかんだら、目次を見渡します。そして会議内容に関連ありそうな箇所に印をつけておきます。 |
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目次に印をつけたら目次にしおりを挟みます。そして印をつけたページから読み始めます。「最初から読まないとわからないのでは?」という不安があるかもしれませんが、会議通訳の場合キーワードがわかっていますので、そこからピンポイントで読み進めたほうが記憶に残りやすくなります。その項目を読み終えたら、しおりを挟んだ目次に再び戻り、次の印のページを開きます。この作業を繰り返し、目次でチェックした項目をまずは読み終えてみましょう。 |
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図書館の本には下線を引いたり印をつけたりできませんが、自分の本であればどんどん書き込んでいきます。「あとで古本屋さんに売ろう」などと思わず、本を自分の血肉にしていくつもりで大胆に書き込んでみましょう。中学高校の頃、教科書にものさしをあてて線を引いていた方はいませんか?そういう方にとって、定規なしで線を引くことには抵抗があるかもしれません。しかし毎回きっちり線引きをしていると時間がもったいないので、この際「線引きの美しさ」は追求しないことにします。マークをつけるときは赤ペンなど目立つ色がオススメです。これはあとでパラパラと読み返したときにすぐに目に飛び込んでくるからです。 |
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印をつける箇所には、読んでいて面白いと思ったところを始め、会議に出てきそうな内容も含まれます。その際、下線だけでなく自分なりのコメントや記号を付け加えると、本の内容がより一層自分のものになります。たとえば興味深いと思ったところには「!」マークを、疑問点には「?」、賛同しない箇所には「△」といった具合につけていきます。また、「私だったら○○だと思う」という風に自分の意見を書き込めば、その本と対話することになります。今後さらに調べたい箇所や、参考文献リストの中で入手したいものには「□」(チェックボックス)をつけておきます。 |
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目次で印をつけた箇所を読んだら、あとのページはざっと目を通すだけにしておきます。斜め読みでパラパラとめくっていて自分のアンテナに引っかかるものがあれば、そこで止まって熟読すれば十分です。このようにして一冊に費やす時間をなるべく短縮します。会議通訳の場合、参考文献が一冊では心もとないので、同じような読み方で他の書籍にもあたってみることをおすすめします。こうして複数の文献を読むことで、内容への理解がより一層深まるはずです。 |
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