第2回 ここ1週間でよく耳にした単語
今週は、ここ1週間よく耳にした2つの単語をご紹介します。そのうちの1つは、多分通訳学校などで比較的習いやすい単語であると思うので、「知っておくといいですよ」程度で充分かと思います。しかし2つ目の単語は、アメリカに住んで数年後に覚えたのを思い出せる単語です。少しアメリカ社会の背景と混ぜながら、細かくご紹介します。
1つ目はAusterity。緊縮(財政)という意味です。フランスの選挙が終わって、新しい大統領が選出されたことで、非常にこの単語をよく耳にしました。面白いと感じたのは、緊縮に言及する際この単語をそれほどアメリカでは耳にしないこと。しかしフランスでの選挙の後、突然耳にするようになりました。私の推測でしかありませんが、フランス語ではplan d’austeriteという表現をします。もしかするとこの新大統領が使ったこの表現に引きづられて、英語でもそれに響きが近いAusterityという単語が使われたのではないでしょうか? 日英に比べて、英仏など欧州言語は似た表現が多いですから、このようにオリジナルに引きづられるのはよくあることです。例えばヨーロッパで多言語の通訳が入る会議にいると、リレーされた英語を聞いて、「これはオリジナルの影響を受けているなあ」と感じることがあります。「オリジナルを感じさせない通訳」が本当は理想的ですが。
2つ目はMillageです。辞書では「ドル辺りミル数」とありますが、これではわかりにくいですね。Millage rateとは、土地などにかかる税金の率。Millはミリメートルでわかるとおり、1000分の1。この率のことです。これだけ読むと、「なんだ、税率のことか」と思いがちですが、実はこれがアメリカの生活に想像以上の影響を与えます。
先日、ミシガン州では各地元で選挙が行われました。市の税率を上げるのに賛成か反対かというのが争点。しかし、その理由が明確になっているのです。例えば、「地元のスクールバスを新調するため」「小学校のコンピューターを新しくする」「中学校の体育館の床を張り替える」など、公立学校に関するものが非常に多いです。数年前には、Millageが認められて数週間以内に新しいスクールバスを購入した学区もあったとか。もしくは、水道局の新しいシステムを導入する、などといったこともあります。
日本の選挙と違って、このように非常に明確な目的を示し、「このために税率を上げたい」と伝えるのが、新鮮です。Millageと聞くと、航空会社のMileageを思いがちですが、こんな単語もあるのです。
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