第22回 Americanization & Globalization
日本ではこの時期になると、ボジョレ・ヌーボーの解禁が話題になります。アメリカではそんなこともないですが、フランスではやはり話題になり、ニュースでは「今年はこれだけのワインが日本に輸出された」と報道されます。私はちょうど解禁日にフランスにいたため、久しぶりにこの話題をフランスで耳にすることとなりました。
▶ 第22回のレクチャーはこちらにアクセスしてください。
そんなこともあって、今回のテーマはワインとグローバリゼーションです。世界各国のワインが楽しめるようになったとはいえ、それでも「ワインと言えばフランス」というイメージは相変わらず強いのではないでしょうか? 逆に、フランスの名産と聞かれると、ワインやチーズ、そしてパンといった典型的な代表例を思い浮かべる人も多いでしょう。そこに事実もあるのですが、ワインはフランスのものだけではないことを充分に覚えておく必要があります。
ローマ人やギリシャ人、そしてトルコ人がずっと昔からワインを生産していたのは、よく知られています。動物の皮で作った入れ物に、ワインを入れて持ち運んだという話は、中学校や高校の歴史の授業でも、学んだことがあるのではないでしょうか? またヨーロッパ人がエジプト産のグレープを使って、18世紀にワインを生産していた記録も残っています。
しかしなにより興味深いと思うのは、「フランスワインなどと言うものは存在しない」という考えです。これは私も1年ほど前に友人から紹介されるまで知らなかったのですが、フランスワインに関する書籍を読んで学びました。それによると、19世紀に発生した病気によって、フランスのぶどうが壊滅状態になったのです。ワインを生産できるような状況ではなく、フランスのワイン農家がどうしたかというと、アメリカにあったワインの木を植樹することで解決しました。多くの木は西海岸から届いたもので、これはある意味、フランスワインの起源はアメリカにあると言うことになります。アメリカで重宝されている「自由」などの考えの起源がフランスにあるとおり、フランス文化の代表とも言えるワインの起源がアメリカにあるのは、古くからのグローバル化の一例です。
さて、ワインの消費を考えてみると、やはりフランス人のワイン消費はダントツです。1年間に50リットル以上のワインを平均で消費するといいますから、1週間で1リットルの計算です。昼食時に小さなグラスに一杯、そして夕食で二杯、といったペースより少し早いペースと言えます。日本もボジョレ・ヌーボーに関しては世界で1番の輸入国。ボジョレ近隣に住んでいる人々は、「あんなまずいワインは、フラン国内で消費する人が誰もいないから、日本に送るんだよ」と冗談なのか、まじめなのかわからないことを言う人もいますが、イベント好きの日本人にはちょうどいいワインでしょう。しかし中国のワイン輸入量が日本のそれを越えていることからも、アジアでワインを好んで飲んでいるのは日本だけではないことがわかります。
-
国際舞台で役立つ知識・表現を学ぼう!
-
オリンピック通訳
-
英語のツボ
-
教えて!通訳のこと
-
【人気会議通訳者が教える】Tennine Academy
-
通訳者インタビュー
-
通訳者のひよこたちへ
-
ビジネス翻訳・通訳で役立つ表現を学ぼう!
-
通訳者のための現場で役立つ同時通訳機材講座
-
通訳者になるには
-
Training Global Communicators
-
忙しい人のためのビジネス英語道場
-
やりなおし!英語道場
-
Written from the mitten
-
通訳者のたまごたちへ
-
通訳美人道
-
マリコがゆく
-
通訳者に求められるマナー
-
通訳現場おもしろエピソード
-
すぐ使える英語表現
-
Bazinga!
-
通訳式TOEIC勉強法
-
American Culture and Globalization
-
中国語通訳者・翻訳者インタビュー
-
多言語通訳者・翻訳者インタビュー