INTERPRETATION

第16回 Americanization & Globalization

木内 裕也

American Culture and Globalization

 先週に引き続いて、今週も国際ビジネスがテーマです。まず最初に、国際ビジネスの定義づけから行いましょう。今回のレクチャーではWhereとWhoに焦点を当てています。つまり、まずはどこでビジネスが行われているのか。日本人にとって、海外で行われるビジネスは国際ビジネスですね。同時に、日本国内で行われる仕事であっても、各国から人が集まっている共同プロジェクトなどは、やはり国際ビジネスとみなすことができます。

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国際ビジネスだけではなく、ビジネスの席ではConflictが発生します。これは異なる目的を追求している場合が1つ考えられます。例えば、とにかく利益の追求を行うのか、それとも社会的責任を果たすプログラムやメッセージを重視するのか。もしくは、買い手と売り手では、できるだけ高く売ろうとする売り手と、できるだけ安く買おうとする買い手の間に、明確な違いが生まれます。それによって、Conflictが生まれます。しかしそれだけではありません。例えば、同じ目的のためにビジネスをする場合でも、対立や誤解は生じます。これはなぜでしょうか?

 

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特に国際ビジネスにおいて、「勘違い」がその原因となることが多いようです。私は会議通訳者として様々な国際会議やビジネス会議、交渉の席に参加してきました。ある意味、通訳者と言う第3者の立場で落ち着いて物事を観察しているからこそ、単純な勘違いや前提条件のすりあわせミスが原因で、誤解や対立が生まれていることに気づくことが少なくありません。

 

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例えば勘違いは、文化的なものがあります。簡単な例で考えて見ましょう。友達を家に招待したときに、「もうこんな時間ですね。遅くなってしまいました。」と言って、相手に「もう遅いので、お開きにしましょう」と伝えようとするかもしれません。しかし相手がそのメッセージを間違って理解し、「こんな時間なので、我が家で1晩過ごしてください」と思い込んだらどうでしょうか? これは極端な例ですが、「A rolling stone gathers no moss.」ということわざがアメリカとイギリスで違うのと同じように、1つの言葉が違って理解されることは珍しくはありません。

 

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このような誤解のリスクを減らすには、とにかく確認することが大切です。国際ビジネスでその重要性は明らかです。相手の言っていることをきちんと自分が理解しているか、確認しましょう。これは外国語が得意だから大丈夫、という問題ではありません。同時に、どれだけ流暢に外国語で自分の考えを表現できても、相手にその真意が伝わっていることを確認することも大切です。「考えてみます」「話し合ってみます」と日本人が言う場合と、Let me think about itやWe will discuss itが持つ英語の意味合いは違います。あやふやなままで会議を終わらせると、その場はしのいでも、必ずどこかで辛くなります。

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記事を書いた人

木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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