第14回 Americanization & Globalization
先週の予定では、日米のビジネス比較を行おうという予定でしたが、前回のレクチャーでお話をしてHorizontal CultureとVertical Cultureの解説が不十分なままだったので、ビジネス比較は次回に先送りし、今週は文化差のお話しをします。
アメリカの文化を説明する上でキーワードとなるのは、Vertical CultureやIndividualismです。常に「何が正しいか」「何が正義か」を神や教会の基準と照らし合わせる文化です。またこれはLow-Contextでもあります。コンテキストとは、ここでどういう意味かというと、どれだけ人々が共通の文化的知識や背景を共有しているか、ということ。つまり、アメリカのようにLow Contextということは、多民族国家であることからもわかるように、生まれも育ちも違い、お互いの共通認識が薄いということです。その結果、アメリカに行った日本人が「やってほしいことがあったら、遠慮せずに言わないとわからないよ」とか「黙ったままでは、誰にも気づいてもらえないよ」と言われてしまうのです。日本人の感覚から言うと、それほど自己主張するのは簡単ではないのですが、Low Contextで生きるには、それも重要です。
逆に日本はHorizontal Culture、Collectivism、High-Contextといったキーワードが使われます。Horizontalとは「水平」という意味ですね。つまり、神や教会といった自らの上にある存在ではなく、同じレベルにいる友達や同僚、近所の人々の基準と照らし合わせて、何が正しいかを決める文化です。このように周囲とのつながりが濃いことは、Collectivismと呼ばれる集団主義の原因でもあります。日本人はいつもグループで行動する、といいますが(実は海外旅行をしているアメリカ人もアメリカ人同士でかたまるのですが……)、これには十分な文化的な理由があるのです。
また、日本はHigh contextです。先に解説をした通り、High contextとは多くの人が文化的背景を共有しているということ。その結果、「1を言えば10をわかってもらえる」という状況が生まれます。阿吽の呼吸とはまさにその様子ですよね。空気が読めない、というのも、High Contextだからこそ。Low contextの社会では、そのような感覚は強くありません。また、「気が利かない」というのも、High contextならではですね。
恥とShameについても同じです。恥は日本的な感覚で、社会的に見て「恥ずかしい」という感覚です。しかしShameはShame on you!という表現があるとおり、社会的な感情というより、Verticalな関係において、認められない行動をとったことに対する感情です。訳をする上では、これらの2つをイコールと考えても、大きな問題はないでしょうが、文化的な違いは大きいと考えるべきです。
さて、次回はビジネスの話に移ります。日本のビジネスが欧米型ビジネスにどんな影響を与えているのか、考えて見ましょう。
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