第11回 Americanization & Globalization
今週も先週に引き続いて、AmericanizationとGlobalizationがトピックです。グローバル化と聞くと、どうしてもアメリカ主導型のAmericanizationを思いがちではないでしょうか? 実際のところはどうなのか、いくつかの例を見ることが重要です。今週はそのケーススタディーの1つ目として、野球を見てみましょう。
野球はアメリカならではのスポーツ。野球の始まりを知ることはほぼ不可能です。というのも、誰が最初にボールを棒で打ったかを知ることは歴史学的になかなか難しいもの。しかし組織化された近代スポーツとして考えると、そのルーツの一部はアメリカに存在します。
またメジャーリーグ(MLB)は世界で最大のプロ野球リーグ。映画や音楽などの大衆文化にも浸透しています。A whole nine yardsやHome run、Cover all the basesなどといった野球から生まれた英語表現は日常生活やビジネスの中で頻繁に使われます。
多くの野球選手がいつかはMLBでプレーすることを夢見ます。多くのファンはMLBの試合を見に行きたいと考えています。MLBは非常に収益性の高いスポーツであり、世界中にファンがいます。そう考えると、野球のグローバル化は、世界の野球のアメリカ化とほぼ等しいと考えることもできます。
しかしWorld Baseball Classic (WBC)を考えてみましょう。オリンピックでもそうですが、必ずしもアメリカの優位性は確立されたものではありません。WBCは2大会連続で日本が優勝しました。ほかにも韓国やキューバなど強豪国がたくさんあります。どちらかといえば、アメリカはその影に隠れていました。スター選手はあまりプレーせず、バスケットボールのようなDream Teamではありませんでした。アメリカ以外の国が活躍した理由として、アメリカより緻密な戦略やトレーニングを行ったことなどがあげられていますが、アメリカ流ではないプレースタイルが成功したといえます。この点からは、野球のグローバル化がアメリカ化とは同一ではありません。それどころか、グローバル化によって、さまざまな野球のスタイルが生まれたわけです。
野球のアメリカ化が激しいのは、野球ビジネスでしょう。チームは選手に投資をしますから、その選手がWBCで疲労を抱えたり、怪我をするのを好みません。ですからなるべく手放さない方向で選手と話をします。しかしMLBとしては世界に野球が広がって、MLBのマーケットが拡大することは望ましいこと。そのバランスをとろうとしたのがWBCでした。
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