INTERPRETATION

第2回 「Social Location」

木内 裕也

American Culture and Globalization

今回から、このレクチャーシリーズの本番です。第2回目はSocial Locationという概念を紹介しています。

lecture2_1.jpg▶ 第2回のレクチャーはこちらにアクセスしてください。

 Social Locationとは「自分とは何か?」「自分と外の世界のつながりは何か?」を理解するうえで重要なコンセプトです。講義の中で解説している通り、Micro-Level、Meso-Level、Macro-Level、そしてGlobal-Levelという4つのレベルから構成されており、それぞれ、「自分による自分の理解」「自分と家族や近い友人の関係」「自分とコミュニティーや国のつながり」「世界の中の自分」というカテゴリーに分かれます。その答えを知るには、アルバムやデジカメ、携帯の写真を見ながら、自分にとって大切な写真をまとめてみることが有益です。それによって、視覚的に「自分とは何か?」という質問の答えが見えてきます。今回の講義では、私が自分の考えを例に、どのようなSocial Locationがありえるかヒントを出しています。

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Social Locationは個人だけのものではありません。例えば皆さんが働いている会社のSocial Locationを知ることは、会社が社会にとってどのような価値や意味を持つ存在であるかを理解することにつながります。その答えと理想を比較することで、今後、会社や組織をどう成長させていけばよいのか理解することもできるでしょう。たとえばGlobalレベルもMacroレベルもSocial Locationが薄いのに、Global Presenceをキーワードに事業が進められているとします。そんな場合には、まずはMacro-Levelで存在を確立する必要があるでしょう。
 さて、今回のレクチャーでは、第1回目で話をした無生物主語の文章構成が複数あります。SituateやAllowといった動詞を使って、人や動物でない主語の文章があります。これは英語の表現では非常に一般的なことです。しかし日本人の英語学習者にとって、そのような文章の意味は理解できても、なかなか自分でそんな文章を書く、話すことは難しい、と感じることが多くあります。AllowやEnableは無生物主語を非常に取りやすいですから、そんな場合にはこの様な動詞を積極的に使ってみるといいでしょう。
 またInvestigateという単語が出てきます。一般的には、警察などが捜査する、という意味で使われる動詞ですが、StudyやExamineと同じ意味で使われることもあります。This study investigates the relationship between wealth and happiness.といった風に使えます。
 Big Tenという表現がでてきます。なかなか日本では馴染みのない表現でしょう。アメリカでは大学スポーツが非常に人気です。しかし国土が広いですから、国内の大学と試合をするのも移動が大変。そこで、地域でまとまってConferenceと呼ばれるリーグを作っています。私の教えるMichigan State UniversityはBig Tenという名前のカンファレンス(リーグ)に所属しています。同じカンファレンスに所属する大学は研究でもスポーツでもライバル視され、その様な学校と試合をする場合には、学生が一層熱をこめて応援しています。
 来週はBorderについてです。Borderは「国境」と理解しがちですが、その意味はそれだけではありません。隠された深い意味を考えていきましょう。

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木内 裕也

フリーランス会議・放送通訳者。長野オリンピックでの語学ボランティア経験をきっかけに通訳者を目指す。大学2年次に同時通訳デビュー、卒業後はフリーランス会議・放送通訳者として活躍。上智大学にて通訳講座の教鞭を執った後、ミシガン州立大学(MSU)にて研究の傍らMSU学部レベルの授業を担当、2009年5月に博士号を取得。翻訳書籍に、「24時間全部幸福にしよう」、「今日を始める160の名言」、「組織を救うモティベイター・マネジメント」、「マイ・ドリーム- バラク・オバマ自伝」がある。アメリカサッカープロリーグ審判員、救急救命士資格保持。

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