第215回 「3」という数字を聞いたときに思い出す詩
「3」は、「3度目の正直」の「3」、「2度あることは3度ある」の「3」
詩の世界は、もっとロマンチックです。
「3」と言えば、初めての恋に始まって、3度目の恋を考えないわけにはいきません!
人生で3度目の恋ってどんな感じなのか、まあ読んでみてください。
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Gifts
Sara Teasdale
I gave my first love laughter,
I gave my second tears,
I gave my third love silence
Thru all the years.
My first love gave me singing,
My second eyes to see,
But oh, it was my third love
Who gave my soul to me.
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贈りもの
サラ・ティーズデイル
初恋の人にあげたもの 笑い声
2人目には 涙
3人目には 沈黙
何年もずっと
初恋の人がくれたもの 歌
2人目は あの瞳
あぁ 3人目のおかげで
自分の心を手にしたの
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好きな人ができたときの、愛情のステップがよく分かりますねえ。
I gave my first love laughter,
I gave my second tears,
I gave my third love silence
Thru all the years.
初恋の人にあげたもの 笑い声
2人目には 涙
3人目には 沈黙
何年もずっと
初恋は、好きで好きで、嬉しくて楽しくて、とにかく笑ってばかり。
2人目との間には辛いことも多くて、苦しくて悔しくて涙。
そして、3人目にして、あれこれ話さなくても分かり合える人に巡り合えた!
最終的には、何も話さなくてもいいというレベルにまで達して、幸せをつかむ感じがいいですねえ。
この愛情の3段階は、ひとりの人に対して味わうことも多いのではないかと思います。
そんな風にして誰かを愛するわけですが、相手が自分に与えてくれるものもあるわけで、それが次に描かれています。
My first love gave me singing,
My second eyes to see,
But oh, it was my third love
Who gave my soul to me.
初恋の人がくれたもの 歌
2人目は あの瞳
あぁ 3人目のおかげで
自分の心を手にしたの
歌、瞳と来て、最後に「自分の心を手にしたの」と来るのがカッコいいですね。
自分のことは自分では分からないことが多いし、自分らしくいることも簡単ではないけれど、それをできるようにしてくれる人がそばにいてくれる。その心強さと言ったら!
自分が何をどうしたらいいのかも分からず、自分らしさと生き方の狭間でもどかしさを抱えていたのが、ある人に出会って一緒にいて笑ったり泣いたりしているうちに、自分というものを素直に出すことができるようになる。そして、自分らしい心をついに手にしたという感覚を得る。
これは、言葉にするだけで涙が出てきますねえ。
何よりも、映画だったら2時間、本だったら200ページくらい必要な心の軌跡を、こんなに簡潔にこんなに深く伝えることができるという詩の力。恐るべし!
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今回の訳のポイント
今回の詩は、give という単語がポイントになっています。
But oh, it was my third love
Who gave my soul to me.
あぁ 3人目のおかげで
自分の心を手にしたの
日本語では、誰かが自分に「与えた」と言うよりも、誰かに自分がして「もらった」と言うことが多いので、give という単語のニュアンスが、心にしっくりこないことがあります。
「あげる=もらう」である授受関係は、どちらを主語として考えるかによって、受け取る印象が変わります。
ここでも、相手を主語にするのでなく、自分を主語にするほうが、日本語としては自然に理解できるのではないでしょうか。
「自分の心を手にした」だなんて、人生で一度は言ってみたいものですね。
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