第159回 学ぶことがたくさんあるときに思い出す詩
新しいことを始めると、知らないことや分からないことの多さに圧倒されることがあります。
何から手をつけたらいいのか、どういう順序で取り組めばいいのかも分からず、まごまごしてしまったり。
そんなときに、春の草原の詩を思い出します。
新しいことと、春の草原に何の関係があるのか、まあ読んでみてください。
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Only some spires of bright green grass
Emily Bronte
Only some spires of bright green grass
Transparently in sunshine quivering.
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眩しく光る緑の草には葉先があって
エミリー・ブロンテ
眩しく光る緑の草には葉先があって
日差しにちらちらと透き通り 風に揺れている
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一体この詩のどこから、「学ぶことがたくさんあるとき」のヒントが見つかるのか、、、
ちょっと考えてみてください。
一面の緑の草原。遠くから漠然と見ると、ただ緑一色にしか見えません。
学ぶべきことを前に、ただただやるべきこと一式に圧倒されてしまうかのようです。
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しかし、その草をよく見てみると、中には日差しが透けるような葉先があることに気がつきます。一面の緑でもなく、草の下から上まで均一に緑なのでもなく、そこには確かに光が透けている葉先がある。
学びも、こうしたちょっとした光をとっかかりとして、物事を理解できるようになったりすることがある。そんな風に思えるのです。
自分の興味と関連することであったり、過去の経験と結びついたり、手順としてコツがつかめたり、何をどう操作すればやりたいことが実現するのかわかったり。
小さな気づきを突破口にして、理解のきっかけを得ることがあります。外から眺めておびえるのでなく、実際に向き合ってみて得られた気づきこそが、学びを加速させてくれます。得られたコツを使い、やってみて、またさらに学びを得て、知識と技術の幅を広げていき、引き出しが増えていく。
煌めく緑の草の中の、日の光が透けるような葉先。それが風に揺れているのを見て、そんなことを考えてしまうのです。
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今回の訳のポイント
たった2行の詩ですが、それだけで春の眩しい緑の草原がイメージできませんか。
しかし、日本語にしようとすると、短い詩だからこそ、少ない言葉で意味を伝える難しさがあります。
例えば、Only some spires は「いくつかの葉先だけが」というのが直訳ですが、詩的雰囲気を保ちながら日本語にしたいところです。
風にわさわさと揺れる緑の草の全てでなく、その中に、春の日差しを浴びて透き通り、揺れている葉先が見えることもある。
その情景をイメージすると、「ちらちら」という言葉が思い浮かびませんか。
このディテールだけで、春の草原の眩しさとはどういうものなのか、その全てが一気にイメージできる。
近づいてみなければ気づかないディテール。でも、その小さな発見をきっかけとして、新しい世界にのめりこんでいく。
人を好きになるときもそうですし、学びが進むときも同じような感覚なのかなと思ったりもします。
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