第157回 新しいことを始めるときに思い出す詩
春。
新しいことを始めるときは、いつだって不安があるものです。
しかし、春には、そこかしこで、期待とエネルギーに溢れた初々しさに出会えます。
そんな春の爽やかさに心奪われたときに思い出す詩があります。
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Morning
Sara Teasdale
I went out on an April morning
All alone, for my heart was high,
I was a child of the shining meadow,
I was a sister of the sky.
There in the windy flood of morning
Longing lifted its weight from me,
Lost as a sob in the midst of cheering,
Swept as a sea-bird out to sea.
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朝
サラ・ティーズデイル
4月の朝 わたしは出かけた
ただひとり 心が高鳴ったから
わたしは 輝く草原の子どもで
大空の妹だったんだ
強く風が吹きつける朝に
想いがわたしの心を軽くして
喜びのさなかにこぼれる涙のように茫然と
沖へ飛び立つ海鳥のように風にさらわれた
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うおー!春の潮騒!草原の風!
「爽やか」と呼ばずして、何と呼べばいいのでしょう!
I went out on an April morning
All alone, for my heart was high,
4月の朝 わたしは出かけた
ただひとり 心が高鳴ったから
「出かける」というイメージが、もうそれだけで「春」ですよね!
門出。出発。旅立ち。
「それが春だから」とじーんとしていると、押し寄せる圧倒的春の情景!
I was a child of the shining meadow,
I was a sister of the sky.
わたしは 輝く草原の子どもで
大空の妹だったんだ
草原と大空。最強の組み合わせじゃないですか!
草原は陽の光にキラキラと輝き、空は青くどこまでも広がっていた。そう!あの時の、わたしたちの未来のように!
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There in the windy flood of morning
Longing lifted its weight from me,
Lost as a sob in the midst of cheering,
Swept as a sea-bird out to sea.
強く風が吹きつける朝に
想いがわたしの心を軽くして
喜びのさなかにこぼれる涙のように茫然と
沖へ飛び立つ海鳥のように風にさらわれた
希望に満ちた春のウキウキも、ふと雨や風に襲われることがあります。
吹き飛ばされないようにと足を踏ん張ってしまいますが、そっと力を抜いて、風に身体を預ければ、ここではないところへ飛び立てる。
強い風は、わたしたちを飛び立たせる風にもなるのです。
今まで慣れ親しんだ陸地を離れ、未知の世界へと向かうのは不安かもしれません。しかし、涙は風にあずけて、鳥のように風の力を利用すればいいんです!
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今回の訳のポイント
この詩は、声に出して読んでみると、爽やかさが一層胸に沁みます。
Lost as a sob in the midst of cheering,
Swept as a sea-bird out to sea.
喜びのさなかにこぼれる涙のように茫然と
沖へ飛び立つ海鳥のように風にさらわれた
この箇所には、多くの s が登場します。sの音は、スースーと息が抜けるような音。
それがまさに、草原を吹き抜ける風を、浜辺に吹き付ける風を感じさせるのです。
春のキラキラとちょっぴりの苦さを詰め込んだこの詩。まさに「青春」ですね。
「青春」の青臭さ、甘酸っぱさを強調して「アオハル」と言ったりします。
わたしたちの人生の新しい章には、風に声をあげて腕を広げるような、キラキラした「アオハル」の瑞々しさが似合いますよね。
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