第125回 自信がないときに思い出す詩
自信。
読んで文字のごとく、自分を信じることができるかというのが、自信。
仕事や生活において、自信をなくす瞬間は少なくないのですが、そんなときに思い出す詩があります。
泰然と構える老猫の姿を思い浮かべてほしいのですが、何故、自信=老猫なのか。
まあ、読んでみてください。
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I am the cat of cats. I am
William Brighty Rands
I am the cat of cats. I am
The everlasting cat!
Cunning, and old, and sleek as jam,
The everlasting cat!
I hunt vermin in the night-
The everlasting cat!
For I see best without the light-
The everlasting cat!
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おいらは猫の中の猫
ウィリアム・ブライティ・ランズ
おいらは猫の中の猫
おいらは不滅の猫
ずる賢く 年を重ね
ジャムみたいに毛並みは艶やかそのもの
おいらは不滅の猫
夜はネズミ退治
おいらは不滅の猫
光が無くたって目が見えるから
おいらは不滅の猫
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どうですか!この自信!
根拠があるようで無いようなのに、自信たっぷり!
I am the cat of cats. I am
おいらは猫の中の猫
まず何と言っても、「猫の中の猫」と言い切っています。自信というのは、まず根拠もなく言い切るところから始まるのかなと釈然としない気持ちで読み進めると、徹底的に根拠のない自信のオンパレード!
Cunning, and old, and sleek as jam,
ずる賢く 年を重ね
ジャムみたいに毛並みは艶やかそのもの
毛並みの艶やかさは百歩譲って良しとしても、ずるがしこさも、老齢も自信の根拠となり得るのか、と。
I hunt vermin in the night-
夜はネズミ退治
ネズミ退治、それも得意なのは分かっているよ、と言いたくなりもするのですが、確かに、猫の取り柄とはそこなのだろう、と。
For I see best without the light-
光が無くたって目が見えるから
最終的には、夜でも目が効くという一点張りで押し切ります。
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自信とは、小さな成功体験を積み重ねること。自信とは、失敗が許される環境で、挑戦できること。
そういうことが必要とされるわけですが、そういった論理を一蹴する、この猫の神経の図太さ。
自分の思い込み、その一点張りで、I am the cat of cats. I am「おいらは猫の中の猫」と言い切ってしまう。
でも、そうか、意外に自信というのは、多くの成功を積み重ねたという根拠がなくても、何かひとつのきっかけでも、自分の心に深く根ざしてくれるものなのかもしれない。そう思えてくるのです。
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今回の訳のポイント
泰然とした老猫が放つ自信。不敵な笑みを浮かべて、こちらをじろっと見つめる自信満々な様子ですが、その際たるものが、このひと言です。
The everlasting cat!
おいらは不滅の猫
猫は9つの命があると言われたり、お話の中で100万回生きたりするわけですが、その数字は置いておくとして、猫の不滅性については、猫の習性が関係しているようです。
ふらっと突然いなくなってまた帰ってくる。それが自由奔放な猫の行動で、このことから、一度いなくなったものが帰ってきて甦る、という考えになり、9つの命があると考えられるようになったとも言われます。
生きていれば、自信は何度も失われるのですが、一度無くなったものも、ふとした時にまた戻ってきて甦る。そんな根拠のない自信を持っていると、泰然としていられるのかなと思います。