第86回 強い人に出会ったときに思い出す詩
困難に直面したとき、決断を迫られたとき、たじろがずにまっすぐに進むこと。
波乱にも動じず、人生の雨風にも負けずに、自分を曲げずに進むこと。
強い人は、そういう風にして、自信と余裕を漂わせています。
そんな強さがほしいと思ったときに、思い出す詩があります。
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Rules For The Road
Edwin Markham
Stand straight:
Step firmly, throw your weight:
The heaven is high above your head,
The good gray road is faithful to your tread.
Be strong:
Sing to your heart a battle song:
Though hidden foemen lie in wait,
Something is in you that can smile at Fate.
Press through:
Nothing can harm you if you are true.
And when night comes, rest:
The earth is friendly as a mother’s breast.
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この世の習い
エドウィン・マーカム
まっすぐ立て
しかと歩め その身体を投げ出してしまえ
天国は頭上高く
遥かな道は灰色だ
それは君が歩むためにあるんだ
強くあれ
自分の心に聞かせてやれ 闘いの歌を
敵は潜んでいる
いざというときも笑える心が
君の中にある
やれるところまでやってみるんだ
自分に正直なら傷つくことはない
そして夜の帳が降りたら 休め
この大地は母の胸のように優しいのだ
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決然とした詩の中に、強さを象徴する様々なキーワードが登場しています。
強い人は、人の言葉や世間の目に身構えることなく、stand straight「まっすぐ立つ」ことができます。
しかし、それは向かってくるものに対して、自分の身を守る行為なのではなく、むしろ自分の身をthrow「投げ出す」勇気があることの証明です。
強い人は、安定した基盤がなくても、進む道がgray「灰色」で不確実でも、迷いがありません。
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強さとは、怖い顔をして敵を打ち倒すことだけではありません。
強い人は、災難や困難に襲われても、誰かや何かのせいにしてやり場のない怒りをぶちまけることもなく、そんなfate「運命」を笑い飛ばします。
強い人は、自分自身を信頼しているからこそ、press through「自分を追い込む」ことができます。
困難に対して、自分の身をさらすことで、強靭さが得られると同時に、自分に対して忠実でいるという信念が身についているように感じられます。
つまり、true「自分らしく」あり、そこに自信もあるので、他人からとやかく言われることや、自分がコントロールできないことに対して、心を揺さぶられることが減っていく。
それもこれも、休むことのできる、母の胸のような大地があるのだからと言うのは、少し古風な響きもします。しかし、安心の象徴があることで、強さを発揮できるのも真実なのです。
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今回の訳のポイント
この詩は、人生を一本の道に例えて、そこでの戒めを語る人生訓になっています。
少しお説教臭くもあるのですが、決して攻撃性能の高さという意味での「強さ」でもなく、守りを固めた「強さ」でもありません。
true「自分らしく」、ときにはthrow your weight「自分の身を投げ出す」という思いきりの良さが、この詩では指摘されています。
Press through:
Nothing can harm you if you are true.
やれるところまでやってみるんだ
自分に正直なら傷つくことはない
可能性にオープンでいること、そして向かってくる逆境を笑い飛ばせることが真の強さであるのだなと、納得できます。
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