第47回 心にズキューンと来たときに思い出す詩
ズッキューン。
この感覚は特別ですよね。ちょっとした言葉や仕草にドキッとするのでもなく、その度ごとにキュンキュンするのでもない。
心のいちばん奥に、一気に火が灯るような感覚。その熱さと明るさに、心がドキドキしてくる。
恋の炎が灯るような、そんな幸福な瞬間を描いた詩を読んでみましょう。
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Prime
Amy Lowell
Your voice is like bells over roofs at dawn
When a bird flies
And the sky changes to a fresher color.
Speak, speak, Beloved.
Say little things
For my ears to catch
And run with them to my heart.
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プライム
エイミー・ロウエル
きみの声は 街に響く夜明けの鐘
鳥は飛び立ち
空は明るくなっていく
声に出して言って いとしい人よ
ささいなことでいいから
この耳に届けて
この心にまっすぐに走って来て
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心に鳴り響くその人の声は、まるで朝の訪れを告げる教会の鐘。それまで静かだった心が、一気に騒がしくなってくる。
未来が見えない、そんな夜のような日々に、ついに訪れた朝。ズッキューンと心に電流が走るように、自分を目覚めさせてくれる瞬間。
そんな直球のイメージで、この恋の詩は始まります。
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そして、思いがあふれます。
自分の心と響きあう言葉が心地よくて、もっとその声を聞かせてほしい。
そんな思いを止められずに、呼びかけます。
For my ears to catch「この耳に届けて」は、その声、その言葉を求める気持ちにあふれています。
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そして、やはりグッと来るのは最後の一行ですよね。
And run with them to my heart「言葉と一緒に、この心へと走って来て」ほしい。
走って、つまり、余計なことは考えずに、まっすぐに自分の心の一番柔らかいところに向かってきてほしい。
自分が感じたズッキューンの気持ちは本物で確かなものだから、どんなことも分かり合える気がする。
そんな熱い思いがほとばしっています。こんな風に思いを伝えられたらと考えると、ものすごくドキドキします。
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今回の訳のポイント
エイミー・ロウエルは、20世紀前半に活躍した詩人ですが、「タクシー」や「ろうそく」の詩などでも、現代的センスが光ります。
この詩のタイトル、Primeは「最盛期」「盛り」と訳されますが、そのままでは詩のポップなイメージに合わない気がします。
現代の歌詞のような雰囲気を考えたときに、カタカナにするのはどうだろうかと思いました。
キモチやカタチなど、あえてカタカナにすることで、通常とは違う特別な意味があるのだと感じさせる効果がありますよね。
一気に押し寄せた幸福感と、胸の高まり。恐れや弱さを一気に飛び越えられるから、響きあう心を確かめ合いたいから、自分は心を開いて待っている。
だから、まっすぐにこの心に駆け寄ってほしい。
この詩を読むと、そんなドキドキが甦りませんか。
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