色、いろいろ
ふとお昼にテレビをつけたら、「徹子の部屋」で貝紫という色の染色をされる染色家、西山和恆(わこう)さんが出演されていて、その作品が紹介されていた。
なんと表現すれば良いのか、染料の濃淡によって紫、すみれ色、さくら貝の色……
ギリシャ・ローマ時代に行なわれていた染色法で、貝の中にあるパープル腺というものを取り出して染めるのだそうだ。1グラムの染料を採るのに貝1000個以上を使うというので貴重で高価。シーザーや皇帝ネロもこの紫を愛し、紫は皇帝しか身につけてはならないと命じたため、「皇帝紫」とも呼ばれるのだとか。番組では黒柳さんが西山さんの作品で作られた着物をお召しだったが、なんとも美しい、薫り立つような色である。
私事だが、昨年から突然、着物に興味を持ち、自分で着られるよう着付け教室に通った。今では時々ちょっとしたお出かけに着物を着ていくようにもなった。
着物に使われる色の呼び名には、「浅葱色(あさぎいろ)」「木賊色(とくさいろ)」「刈安色(かりやすいろ)」「紅絹色(もみいろ)」「利休茶(りきゅうちゃ)」など、今ではもう普段に使われなくなってしまったものがたくさんある。なんでも400近い色名があるんだそうだ。昔の日本人は自然に向ける目が肥えていたので、ホンのちょっとの移り変わりや色の違いにも敏感に名前をつけたのだろう。
英語で色を表す言葉はどうだろう。
以前、Burgundy を「ボルドー」と訳した人がいたので、「それは違うのでは」と訂正したことがあった。どちらもワイン・カラーだが、Burgundy はフランスの Bourgogne(ブルゴーニュ)、ボルドーは Bordeaux で、ワインの名産地という点では共通するがまったく別の地方だ。
日本と違ってバラエティに富むのは、目や髪の色だろう。
うっかり日本人が自分の目の色を black eyes と言ったら笑われてしまう、というのは有名な話だろう。ご存知、black eye は殴られて目の周りにできる黒いあざのこと。
一般的に東洋人の目や髪は dark colour と呼ばれるかな。brown かもしれない。
茶色の髪でも黒っぽい茶色を特に brunette といったりもする。
金髪は golden hair と言うことは余りなくて、blonde か fair 。
色白も fair。反対に色黒は dark skin 。
金髪でも銀色っぽいのは ash blonde とか platinum blonde とか言う。
目の茶色も薄い色は hazel と言ったりもする。
「亜麻色の髪の乙女」の亜麻色は、towy という。ちょっとベージュというか枯れ草みたいな色だけど。
さて、冒頭に紹介した貝紫は、英語で Imperial purple といい、使われる貝は murexという種類だそうだ。形はほら貝っぽく、「トリトンのほら貝」と言うこともあるとか。見た目は全然、紫じゃない。でも murex は色の名前にもなっていて、赤味がかった紫、すなわち皇帝紫を指す。どんな色か気になる方は、西山さんの作品展が3月から全国の高島屋で開かれるそうなので、足を運んでみてはいかがだろうか。