BLOG&NEWS

おめでとう、王ジャパン!

the apple of my eye

通訳・翻訳者リレーブログ

今日はもうこの話題しかない(と、勝手に決め付ける)。
実に痛快な結末だった、ワールド・ベースボール・クラシック。
正直、日本が韓国に2タテ(連敗)をくらい、その間に不審なジャッジメントで米国にも敗れ、準決勝進出が危ぶまれた時点まで、「WBC? ふ〜ん、松井も城島も野茂も出ないんでしょ」くらいに思っていた日本人は多かったのでは。(はい、私もその1人です。)

それが、メキシコが米国に勝ってくれて、日本が「たなぼた」で準決勝に出ると決まった時に、一気に盛り上がった。
「もう、韓国には負けられない」
スポーツと国民感情って不思議だなぁと思う。
殺し合いのない擬似戦争なのかもしれない。

ところで時々、スポーツ記事を扱うことがある。
これはもう、その種目をある程度知っていないと非常に苦労する。
例えば野球でも、日本で使っている野球用語と英語のそれがどうマッチするのか、その辺が難しい。
WBCの日本優勝を報じるメジャーリーグのウェブサイトでは今日のゲームでのイチローの活躍を次のように表現している。
Ichiro walked in the first inning and scored one of Japan’s four runs. He doubled leading off the fifth inning and scored the first of two runs in the inning.
「イチローは第1イニングで4球を選び、その出塁がこの回に日本が取った4点のうちの1点となった。5回には2塁打を放って攻撃の口火を切り、その回にチームが奪った2点中、最初の1点として生還した。」
「点」は point じゃなくて、run で表す。
日本で「3ラン・ホームラン」というのは、英語でもそのまま three -run homer/home run という。これはもちろん、出塁者が3人なのではなく、得点が3点なのだ。eight-run fifth inning なんて書いてあれば、これは「8点をあげた5回の攻撃」
single、double はそれぞれ「一塁打」「二塁打」。上記のイチローの例文では動詞として使われている。
「満塁」は「フル・ベース」なんて言うけど、英語では full base と言っても通じない。bases loaded だ。「満塁打」は grand slam。
Hideki Matsui Hits game-tying RBI single, 9th inning
なんていう見出しがあれば、「松井秀、9回に1打点を上げて同点に」という具合に訳さなければならない。RBI は run batted in の略。

野球は日本でも、女性でも、まあまあ見聞きする言葉が多い。
これが日本ではあまりポピュラーでないスポーツだと大変だ。
NFL(アメリカン・フットボール)にこんな記事がある。
Williams ran for 128 yards and one touchdown on 24 carries in the Buccaneers・19-3 victory over the Buffalo Bills. His three-yard touchdown run in the third quarter helped seal the win.
「ウィリアムズは19対3で勝利したバッファロー・ビルズ戦で、24回のランのうち128ヤードと1回のタッチダウンを奪う大活躍。第3クォーターでは3ヤードのランでタッチダウンを決めたことにより、チームの勝利が確実なものとなった。」

ウィリアムズはタンパベイ・バッカーズのランニングバックで、carry とは、パスでボールを動かすのではなく、ボールを持って走ること。ラグビーでは走りながらパスを回していくが、アメフトでは攻撃のパターンが基本的にパスとランの2つ。選手の成績は、たとえばランニングバックの場合は1試合でランを何ヤード走ったとか、シーズンを通して何ヤード走ったとかで記録されるのだ。ran for ~ yards は、その部分。司令塔のQB(クォーターバック)の場合はパスを何回成功させたか、そのパスで稼いだ距離が何ヤードだったか、といった記録になる。各チームのロースター(roster) を見ると、そういう数字がずらっと記録されている。
私がこんなことを少しでも知っているのは、大学時代にアメフト部に知り合いが多かったことと、米国時代にニューオーリンズ・セインツの試合に通っていたお陰。人生、何が役に立つか分かったものではない。本拠地のスーパードームがハリケーン・カトリーナでボロボロになったのは、少し悲しかった。

さて、実は今、サーフィンのハウツー本を扱っている。
残念ながらサーフィンはしたことがない。
テレビで観戦できるようなスポーツでもないので、四苦八苦。
今からサーフィンに挑戦するわけにもいかず、さて、どうしたものか……。

Written by

記事を書いた人

the apple of my eye

日本・米国にて商社勤務後、英国滞在中に翻訳者としての活動を開始。現在は、在宅翻訳者として多忙な日々を送る傍ら、出版翻訳コンテスト選定業務も手がけている。子育てにも奮闘中!

END